22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

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連戦の一区切りとなるこの一戦は、チーム全員がグループの中でそれぞれの与えられた役割を果たし、戦況を読みながらメリハリをつけてタイムアップまで戦い抜きました。

広島がブロックをつくり、ハイプレスを仕掛けてこないと見るや、最終ラインでゆっくりと回して隙を伺います。そして人数をかけられているアタッキングサードでは一気にスピードを上げてゴールに迫りました。

先制点は右のハーフスペースをすばやいパス交換で打開。最後は田中碧がクロスと見せかけて、ニアを打ち抜くシュートを放ちました。膠着した状態が続きそうに見えた試合が動きます。

アンカーの守田英正が好調を維持しているため、この日の田中はインサイドハーフでの起用となりましたが、ボール奪取能力の高さ、危機的状況でのシュートブロックの的確さといった守備者としての働きも光りました。

飲水タイム後は多少我慢の時間が続いたものの、大島僚太、三笘薫を入れたハーフタイム明けはすぐさま勝負に出ます。

前半、車屋紳太郎がマッチアップで苦労していたハイネルに対し、三笘は1対1で翻弄。ボックスの中まで進入してレアンドロ・ダミアンの追加点をお膳立てします。

レアンドロ・ダミアンはこの1ゴールにとどまりましたが、相手陣内でのハイプレスや川崎にとって大切なボールを小気味よくつなぐプレーで、71分までチームに大きく貢献しました。

コーナーキックからの流れで生まれたチーム3点目となる山村和也のミドルは、三笘が相手DFを引きつけたことでシュートコースが生まれました。後半開始からわずか5分で2点奪取に成功します。

直後に城福浩監督が茶島雄介とエゼキエウを同時投入して、ビハインドを跳ね返しに出てきた際には、それを逆手にとって広島の陣形が整わないうちに齋藤学、田中と渡り、試合を決定づける4点目を奪います。

90分に浅野雄也にゴールを許したものの、その2分前に小林悠のPKでとどめを刺しており、大勢に影響はありませんでした。

チーム一丸となっての無駄のない戦いぶりで見事な快勝を成し遂げ、ようやくミッドウィークに試合のない1週間を送ります。


川崎にとっては敗色濃厚な試合でした。3バックで臨んだ神戸に対して、90分を通じてみれば2週間前と同じように、いやそれ以上にゲームを支配されていました。1点ビハインドで終盤を迎えるとプレスをかけるというより、相手を追い回しても追い付かない苦しい状態でした。

小林悠のPKで幸先よく先制した15分後、川崎はボールとは反対のサイドに立つ西大伍に一瞬自由を与えていました。そこへ渡部博文がチェンジサイドのパスを出したことで、一気に神戸のフェーズに変わります。あとは前線の藤本憲明、古橋亨梧がスピードを生かしてフィニッシュを成功させました。

これで息を吹き返した神戸に主導権を明け渡すこととなります。守備時は5バックになってピッチの横幅を埋められ、攻撃時は最終ラインに3枚残っていることで、西、酒井高徳が高い位置をとれるだけでなく、セルジ・サンペール、山口蛍も中盤の仕事に注力できていました。

また、飯倉大樹からの組み立ての際、川崎はプレッシャーをかけ、家長昭博か大島僚太がセルジ・サンペールをケアしてパスコースをふさいでも、この日の神戸は飯倉がロングキックを多用して回避されてしまいます。

思うようにディフェンスがはまらない中、再び西が起点となってゴールが生まれます。このときは登里享平がすばやく寄せていますが、セルジ・サンペールの散らしのパスを受けた西はワンタッチでボールをさばき、サイドに流れた山口がダイレクトでクロスを入れて藤本が合わせました。

突き放された川崎は逆転弾を食らう直前に入った三笘薫が、局面打開を図ってドリブルを仕掛けます。そして相手に囲まれても臆することなく冷静にプレーし続けました。ただ、フィニッシュがうまくいかずに得点には結び付きません。

時間の経過とともに両チームとも間延びしだし、神戸がボールを大きく動かしやすくなります。自分達のペースに持ち込めないホームチームは、神戸の陣形が整っていない段階でのカウンターに活路を見出そうとしました。

それがレアンドロ・ダミアンのPK獲得、さらには宮代大聖の値千金の逆転弾につながったのです。

宮代の得点シーンは、レアンドロ・ダミアンが中盤でつぶれながらボールを前に生かしたことで、3対2の局面ができて生まれます。ダンクレーはボールホルダーの脇坂泰斗、西はファーに流れようとする動きを見せた三笘に意識を向けたため、わずかに宮代に余裕ができていました。脇坂のパスを受けた背番号20は、迷わずゴールに蹴り込みます。

その後は菊池流帆が前線に上がり、ダンクレーも持ち上がってきたために押し込まれますが、最後の最後まで集中を切らさずに守り切りました。勝ち点獲得さえ怪しかった、困難なゲームをチーム全体で我慢強く戦って勝利で終えたのです。


複数のポジションを任せられる車屋紳太郎と守田英正を先発起用したのは、守備的な部分での貢献を期待してのものと思われましたが、先制点となる失点はその2人のいるエリアを攻略されました。

車屋が出ていったために空いた川崎の左サイドからマイナスのクロスを入れられ、そのボールを守田が十分に触り切れずにいると、マルコス・ジュニオールにコースを突いたシュートを打たれてしまいます。

失点後、飲水タイムまでは横浜FMに完全に主導権を握られます。厳しいプレッシャーにさらされ、普段通りのリズムでボールを回せず、逆に守備時には相手の速いテンポのパス回しに翻弄されました。

この試合、攻撃面で頼りにされていたのは三笘薫でした。大外で構えてボールを受け、幾度となくドリブルで仕掛けようとします。ただ、対峙する小池龍太との1対1を制することができません。

33分の三笘の同点弾は、小池が脇坂泰斗のパス出しをつぶしに寄せていたため、チアゴ・マルチンスが戻って対応しに来ました。背番号18は冷静にチアゴ・マルチンスの股間を狙ってシュートを放ちます。

追い付いたことで川崎は平常運転に戻ります。慌てる素振りはなく、また横浜FMも立ち上がりほどのハイペースではなくなり、アウェイチームは冷静な戦いを続けました。

ハーフタイム明けに鬼木達監督は、旗手怜央と小林悠を投入。旗手を右ウイングに配し、そこにいた家長昭博を中盤に下げました。こうすることで3トップと家長によって横浜FMのビルドアップ阻害を図りました。実際、相手のミスを誘うことに成功します。

攻撃は自陣からテンポを速めて横浜FMの最終ラインの背後を突き、最後はGKとDFの間にボールを転がして2点を奪いました。後半開始からわずか5分間のできごとです。

早い段階での逆転成功が幸いし、その後は天候が味方しました。豪雨によりコンディションが悪化。ピッチの状態こそ保たれましたが、プレーしづらい状態になったのは間違いなく、両者ともそれまでほどのクオリティでのサッカーは難しくなりました。

そんな中で川崎は高い位置で人数をかけてスペースを消し、圧力をかけて奪うと、ピッチを広く使って相手選手のいないスペースにすかさずボールを出していきます。こうして横浜FMの選手を走らせて消耗させました。

三笘にハットトリックのチャンスが訪れたり、朴一圭があわやオウンゴールかという場面もありましたが、天候が悪化してからスコアは動きません。最終的にディフェンディングチャンピオンに内容でも圧倒しての逆転勝利となりました。


清水が恐れずボールをつなぐサッカーをすることから、比較的フレッシュな面々を揃えた川崎は前線からプレスをかける戦い方を選択します。これによって清水は自陣でミスを連発。川崎は次々とマイボールにしていきました。

川崎がビルドアップをする際、前半の清水は川崎のようにはプレッシャーをかけず、ミドルゾーンで待ち構えていました。おかげでセンターバックの山村和也、車屋紳太郎、さらにアンカーの守田英正から前線に展開するミドルパスを多数供給することができました。

受け手となる選手は最終ラインの背後を狙って走ります。ウイングの宮代大聖、齋藤学のみならず、インサイドハーフの旗手怜央、下田北斗も機を見て上がる姿勢を見せました。

こうした厚みのある攻撃の結果、90分を通じて33本のシュートを浴びせます。前の試合で開眼した旗手の2ゴール、そして3点リードした77分にピッチに入り、長期離脱から復帰を果たした中村憲剛の得点はいずれも相手のミスに乗じて挙げたものでした。

旗手が結果を出したのに刺激を受けてか、同期の三笘薫も奮起。名古屋グランパス戦で負傷しても調子を落とすことなく、ヘナト・アウグストにコースを防がれ、一度体勢を崩しても立て直してチームの5点目を奪います。

ディフェンスに関しては、守田が相手の攻撃を遅らせる働きをしていたものの、前半は中盤がややルーズになり清水に前進を許してしまいました。この点はハーフタイム明けに修正がなされ、相手ボールの際には多少人を見る形に変えました。

それでもシュートを打たれるピンチはありました。そこはチョン・ソンリョンの好セーブがチームを救います。守護神の安定感なくして、クリーンシートは達成できませんでした。

直近2試合は苦しい展開・結果となって迎えたこのゲームでしたが、最終的には5-0の圧勝に終わります。

会心の勝利を挙げたタイムアップ直後、中村憲剛は無事にプレーを終えた喜びと感謝を表すように痛めていた左膝を両手でなでました。ピッチを走る姿は、まだ両足で感触を確かめている風でしたが、背番号14の復活はチームに非常に大きな影響をもたらすはずです。


前半の飲水タイム直前に大島僚太のミドルで先制こそしましたが、最後まで選手達がピッチに足をとられることの多かったこのアウェイゲームは神戸相手に苦戦を強いられました。

神戸は両サイドバックが高い位置をとっており、酒井高徳がタッチライン際に、西大伍はハーフスペース近辺にポジションをとりました。必然的に川崎の両サイドバックはいつものように積極的には上がれません。

そこで手薄になるはずの最終ラインには、展開力のあるセルジ・サンペール、山口蛍が顔を出すことで数的不利に陥らないようにしていて、容易には突破できない形になっていました。

また、ミドルゾーンでは田中碧、脇坂泰斗に対して厳しいプレッシャーがかけられ、ビルドアップがうまくいきません。こうして川崎は手詰まりになります。

鬼木達監督は自分達から打って出るというよりは、押し込まれている状況を解決するための選手交代を多く行います。

まずハーフタイムで脇坂を下げて、キープ力の高い右ウイングの家長昭博をその位置にコンバート。これにより中盤の強度を上げます。

次いで酒井に対して守勢に回っていた山根視来を下げ、守備力の高い守田英正を投入。66分には田中を下げてレアンドロ・ダミアンを送り込みます。ここでは小林悠を残して前線の厚みを確保するとともに技術が高く試合をコントロールできる大島をアンカーに下げてビルドアップ時のリスクを軽減します。

数々の手当てを施したことで川崎は神戸に対抗しうる形となり、その結果、75分に旗手怜央の同点弾が生まれます。

旗手は最初の失点時に自身が見ておかなければならなかった西に抜け出されてシュートを打たれてしまい、一時は逆転弾となった2失点目は西を警戒するあまり、フリーで持ち上がったダンクレーの警戒を怠り、ドウグラスへのクロスを上げられてしまいました。後者は旗手だけの責任にするのは酷かもしれませんが、こうした悔しい状況下で、リーグ戦初ゴールという結果によってチームを救えたのは大きいと言えます。

川崎は最後まで攻撃の手は緩めませんでしたが、クロスが乱れて勝ち越しとはなりません。一方、後半は攻めに転じたためにカウンターを食らいやすくなる中、神戸がフィニッシュの精度を欠いたこともあり、2-2の同点で試合は終わりました。

苦しい敵地での連戦で連敗をしなかったことは今後に向けて意味のある結果であり、独走態勢とは言い難くなったものの、首位チームとして最低限の結果を残してホームに帰ることができました。


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