22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

カテゴリ:サッカー > 視聴

5日前にAFCチャンピオンズリーグのグループステージ突破を決め、一仕事終えた後であり、今週末には天皇杯決勝が控えているため、スタメンの大幅入れ替えが行われました。

加えてジョアン・シミッチ、レアンドロ・ダミアン、マルシーニョはベンチにもいません。

最初の30分は互いに失点を防ぎたい意識が強く、膠着した状態が続いて、ピンチには至らないものの川崎には珍しいミスも目立ちました。

それでも右から左に立ち位置を変えた宮代大聖がゴールに迫るシーンをきっかけに、相手ボックス内まで攻め込む機会を増やしました。ただ、小林悠のシュートも枠を外れるなど、得点には至らずにスコアレスで折り返します。

後半開始早々は鳥栖に深い位置まで侵入されますが、失点することなく乗り切りました。

流れが決してよくない中で、鬼木達監督は早めに動きます。まず瀬古樹と山田新、その後は家長昭博を投入。ピッチの中で全体のバランスを見ながら気の利いたポジション取りをできる選手が増えました。

それでも最後の最後で迫力を欠き、ゴールを奪えないまま時間だけが過ぎていきます。

81分に最後の交代を行い、大南拓磨とバフェティンビ・ゴミスが入って、ジェジエウと脇坂泰斗が下がったため4-4-2にシステムを変更しました。

前線中央の枚数を増やして再び押し込みだすと、ボックス手前でフリーキックを得ます。瀬古のキックは枠をとらえたものの朴一圭に阻まれます。

しかし、直後のコーナーキックで瀬古のニアを狙った鋭いボールを日野翔太がオウンゴール。川崎が待望の先制点を取りました。

アディショナルタイムには鳥栖陣内で時間を進めつつ、家長のアウトサイドでのラストパスにゴミスが合わせて追加点を狙います。ここは近くに立った朴に止められて加入後初ゴールとはなりませんでした。

それでも87分の1点を守り、公式戦3試合連続でチームは完封勝利を収めます。リーグ戦は全34試合を戦って14勝8分12敗。順位は一つ上がって8位でのフィニッシュとなりました。

この日は開始してすぐに登里享平が長沼洋一との接触で肩を痛めた際には緊張が走りました。しかし、プレー続行が不可能になるほど深刻な負傷者を出すことなく、ゲームを終えることができました。


ホーム最終戦となったこの日は、全員が最良の結果を目指して戦い、完封勝ちを収めました。

立ち上がりは鹿島ペースで進み、佐野海舟の巧みな突破もあったとはいえ、中盤で規制をかけられない場面が目立ち、川崎陣内でのプレーが続きました。

当然、前線の3人にボールが渡る回数も少なくなります。この段階で失点していれば、苦しいゲームになったでしょう。

しかし現実は前半の半ばから主導権を握り返します。徐々に鹿島ゴールに迫れたことで、本来の姿を取り戻しました。

34分、登里享平がスペースを狙って出したボールにマルシーニョが追い付き、ポケットからマイナスのラストパスを繰り出すと、レアンドロ・ダミアンがやや窮屈な状態ながらもそれに合わせて先制します。

1点取れたことで余裕が生まれ、ハーフタイムまでは落ち着いたプレーに終始しました。

後半は追加点を奪うべく、再びギアを上げます。瀬古樹の前線への関わりを生かして、2回連続で鹿島を脅かしました。

そこでは2点目を取れなかったものの、63分に左サイドに流れたボールに対してマルシーニョがあきらめずに走ったことでチャンスが生まれます。

マルシーニョは須貝英大がコントロールしきれなかったボールを奪い、最後はレアンドロ・ダミアンが冷静にゴールに蹴り込みました。

さらに優位に立った川崎ですが、交代はマルシーニョに代えて宮代大聖が入ったくらいで、残りの4枚のカードは87分まで切られませんでした。

4枚替えをする前に、レアンドロ・ダミアンが早川友基に倒されてPKを獲得。ハットトリックのかかった背番号9が蹴るかとも思われましたが、天皇杯準決勝での失敗以降、代わりにキッカーを任されている脇坂泰斗が担当します。確実に左に決めて3-0としました。

あとはクリーンシートで終わらせるだけでした。遠野大弥がディエゴ・ピトゥカのシュートコースを消そうと懸命のスライディングを見せるなど、全員の意識は統一されていました。

得点源である鈴木優磨にボックスの中で決定的な仕事をほとんどさせぬまま、試合をクローズします。最近は点を取れても打ち合いになることが多かっただけに、見事な締めくくりでした。










ホームとはいえ火曜日にBGパトゥム・ユナイテッドとの厳しいゲームを戦った川崎。この日はその時とはメンバーを一部入れ替えて臨み、勝ち点1を得るにとどまりました。

前半はJ1初担当という高崎航地主審のレフェリングにナーバスにさせられる機会も多く、また京都の執拗なプレッシャーには苦しめられました。前進が難しく、中盤から前線へと効果的にボールを動かすことができません。

福田心之助に先制を許しながら、19分にチョン・ソンリョンのロングキックを起点に、アピアタウィア久のミスを逃さなかった宮代大聖のゴールで追い付きました。しかし、ハーフタイム前に2失点します。

いずれもジェジエウの原大智に対する守備がやや甘くなり、豊川雄太に得点を許した格好です。コーナーキックを起点に小林悠のゴールで再び1点差としますが、ジェジエウはハーフタイムで山村和也と交代します。

山村と同時にジョアン・シミッチに代わって瀬古樹が投入され、中盤3枚の動きが柔軟になり、ボールの循環が改善されていきます。特に右ウイングの位置から中央に入る小林に集める形を増やして、京都ゴールに迫りました。

それでも得点には結び付かず、鬼木達監督はマルシーニョ、山田新、家長昭博を順々に送り出します。家長はトップ下の位置に入り、4-2-3-1に形を変えました。

その間、63分に井上黎生人を入れた京都は、守備時に5-4-1となるシステムに変更。川崎にとっては危険な場面が減ったものの、より一層攻めにくくなりました。

それゆえにマルシーニョが福田のファウルを受けて得たPKを、脇坂泰斗が沈めて追い付くのが精一杯でした。逆転を目指して、丁寧につなぐのをやめて放り込みを増やすも、最後まで4点目が奪えません。

これでリーグ戦は残留争いをしているチーム相手に2試合続けてのドローとなりました。追い付いて終えたとはいえ、現状の川崎の順位を反映したような、物足りなさの残るゲームでした。


ジェジエウが遂に戦列復帰を果たした一方で、大南拓磨が深刻ではないかと思われる負傷。大南はもともとこのゲームには出場停止で出られませんでしたが、川崎は未だに離脱者続出の悪循環から抜け切れません。

そうした中での天皇杯決勝の前哨戦でした。この試合が終わると次の公式戦まで1週間強空くとはいえ、タイ遠征から戻ったばかりの厳しいコンディションで、残留争いの渦中にいる柏に対峙します。

前半はマルシーニョを走らせつつ、最後はバフェティンビ・ゴミスに合わせる形を狙って戦いました。ゴミスへのボールは徐々にですが、以前よりも合うようになっています。

ただ疲労もあってか、つなぎを大事にする川崎には珍しく、ミドルゾーンでパスが引っ掛かるケースが多く、山田雄士に先制を許した場面もそのミスが原因でした。柏からするとマテウス・サヴィオのスペースを突いた好判断のパスも、ゴールの決め手になりました。

失点のきっかけをつくってしまった瀬古樹は前半で下がり、BGパトゥム・ユナイテッド戦はハーフタイムで退いた遠野大弥が入ります。

逆襲のために比較的フレッシュな遠野が入ったものの、細谷真大に対するファウルがオンフィールドレビューの結果、退場の判定となりました。ただでさえ柏に比べてコンディションがいいとは言えない川崎は、60分になる前に10人での戦いを強いられます。

それでもアウェイチームは試合を捨てません。鬼木達監督が次々と交代カードを切り、システムも4-4-1から4-3-2へと変えていきます。

すると70分、脇坂泰斗が広げて山根視来がクロスを入れ、ゴミスがつくった後方のスペースに走り込んだ橘田健人が最後に合わせました。スタートから出ていた面々が、苦しい状況下で試合を振り出しに戻します。

その後は選手を入れ替え、細谷に集めて攻める柏の攻撃を全員で耐えながら、チョン・ソンリョンのところでは時間を使いつつも、チャンスと見れば攻める姿勢を貫きました。

特に脇坂、山根、橘田は最後まで労を惜しまずピッチを走り回りました。それゆえに柏に勝ち越しを許さず、逆に相手ゴールに迫るシーンをつくれたのです。

結局、1-1のタイスコアに終わりました。残留を確実にするために是が非でも3ポイントの欲しかった柏相手に、数的不利になりながらの引き分けです。川崎としては決して悪い結果ではありません。



リーグ戦はタイトルの可能性がなくなり、モチベーションの維持が難しいかに思われました。しかし、初のルヴァンカップ決勝進出を果たして意気揚がる福岡相手に、ホームでプロの矜持を見せて逆転勝利を収めました。

すでに負傷離脱していた佐々木旭に加え、登里享平までもが不在の左サイドバックには瀬川祐輔が入り、4-3-3で臨みました。

天皇杯の時のようにはスムーズに福岡を攻略できず、ボックスの深い位置まで入れない中、川崎はミドルシュートに活路を見出します。

まず瀬古樹が鋭い一撃を放つと、このところミドルが冴え渡る橘田健人も力強く振っていきました。キャプテンのシュートは村上昌謙に弾かれますが、それに反応した瀬川が狙い澄ましたシュートで先制します。

ところがこの日も前半のうちに福岡に追い付かれます。紺野和也のフリーキックがチョン・ソンリョンを襲い、こぼれ球をドウグラス・グローリに押し込まれました。

同点にされ、守りを軸とする福岡に主導権を握られだします。ビルドアップにも苦労し、ミドルゾーンまで進めても、そこから効果的に抜け出せません。

苦しい状況を打開すべく、後半は山村和也からロングボールを左右に散らすなど工夫を凝らしますが、オフサイドの判定が続いて実りません。

すると66分、一度は弾かれながらも粘り強くボールに寄せた山岸祐也に逆転弾を食らいます。悪い流れになり、暗雲が漂い始めます。

川崎は直後に三枚替えを実行。フレッシュな面々を送り込みました。それでも福岡の体を張った守備は強固で、バフェティンビ・ゴミスのオーバーヘッドは枠をとらえられません。

その後、小林悠とジョアン・シミッチを入れ、78分までに交代枠を使い切ります。前線は小林、ゴミス、宮代大聖とストライカータイプが並びました。

6分後、山村和也のロングパスに反応した小林が体を当てられながら巧みなシュートを懸命に放って同点に追い付きました。背番号11が期待に応えます。

息を吹き返した川崎は、少ない残り時間でも勝利にこだわりました。90+2分、小林の左足のクロスをゴミスが落とし、最後は遠野大弥が豪快に蹴り込みました。逆転弾です。

さらに4分後にはスローインに抜け出したゴミスのラストパスに宮代が滑り込んで勝ち点3獲得を確実にしました。ゴミスは2アシストの結果を残します。

不屈の精神で劇的に勝ち切った川崎。すぐ上の8位にいる福岡との勝ち点差は3になりました。



このページのトップヘ