22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

カテゴリ: サッカー

直前まで開催が危ぶまれた試合は、序盤からホームの日本がミドルゾーンで余裕を持ってボールを握りました。前からプレスをかけてこない南アフリカは5-4-1のブロックを敷き、自陣に引いて守ります。

ただ大事な初戦とあって日本に硬さもあり、決定機もコーナーキックもないまま時間ばかりが過ぎる中、32分に林大地のシュートがロンウェン・ウィリアムズの正面を突いたことでゲームが動き始めます。

直後に三好康児のシュートがウィリアムズを襲い、初めてのコーナーキックを獲得するなど日本が少しずつ相手ゴールに迫りだしました。

加えて南アフリカが攻めてきた後、相手の陣形にコンパクトさが失われた際にできたスペースを活用して攻める姿勢を見せて流れをつくります。

後半に入ると多少強引にでも相手のブロックをこじ開けようと攻撃のギアを上げます。堂安律と久保建英を中心に機動力を生かして南アフリカ守備陣をボックスの中に押し込んでいきます。それにより陣形にも乱れが生じます。

一方、ウィリアムズからのロングキックは前半のハイボールからより低く速い弾道に変わったものの、そのボールの大半は日本の選手のもとに飛び、すぐさま攻守が入れ替わります。

日本優位の状況が続くもゴールが奪えず、全体の運動量が落ち始め、森保一監督が上田綺世と旗手怜央を投入しようとしたまさにその時、左サイドに流れていた田中碧のサイドチェンジのボールを抜群のコントロールでトラップした久保が切れ込んでファーサイドを狙って決めました。かつてこの東京スタジアムをホームとしてプレーしていた背番号7による待ちに待った先制点です。

終盤は南アフリカも得点を求め、長いボールをシンプルに前線に放り込むのではなく、中盤からつないで攻めてきたため、日本は対応に追われますが、吉田麻也を中心とした堅いディフェンスによってゴールを許しません。

最後までレフェリーのヘスス・バエンスエラのジャッジにストレスをため、この先を考えると余計なイエローカードをいくつか受けてしまった試合でしたが、1点を守り切って重要な一戦を制しました。



川崎がウズベキスタンでAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を戦っていた間、横浜F・マリノスが勝利を重ね続けたため、リーグ戦は独走状態とは言えなくなっており、帰国後間もないとはいえこの試合は是が非でも勝ち点3が必要でした。

清水は川崎のビルドアップ時にハイプレスをかけてはこないものの、前線の鈴木唯人とチアゴ・サンタナがジョアン・シミッチを消す動きをしており、立ち上がりは中盤を効果的に使うことができませんでした。

それでも17分に登里享平のスルーパスを起点にレアンドロ・ダミアンが井林章を引き剥がし、フリーの状態でシュートではなくパスを選び、ACLで存在感を増した脇坂泰斗が押し込んで先制すると一気にリズムを取り戻します。

押し気味にゲームを進めるも前半のうちに追加点は奪えず、次の1点が入ったのは50分でした。ゴール前の混戦からこぼれたボールを大島僚太が受け取り、落ち着いて決めたのです。ウズベキスタンで徐々に実戦に慣れて、この日はプレータイムが45分を超えた背番号10の見事な一撃でした。大島はそれから66分までピッチに立ちます。

71分に決定機を連続してつくられ、その時はチョン・ソンリョンがファインセーブで凌いだものの、以降は川崎の中盤の強度が落ちて清水の攻撃を受ける形になります。それでも最終ラインプラスシミッチを中心に守備を固め、失点は許しません。

苦しい状況でチームを助けたのは家長昭博でした。奥井諒とのマッチアップ後に座り込んだ際にはヒヤリとしましたがプレーに支障はなく、フィジカルの強さを生かしたキープ力で試合を落ち着かせ、川崎に流れを呼び戻します。

一方で鬼木達監督は足をつらせた脇坂に代えて小塚和季ではなく山村和也を投入。シミッチと横並びのポジションに置いてシステムを4-2-3-1に変更。このまま逃げ切りを図ります。

残り時間が少なくなってからは、チーム全体としてボールキープをメインにしつつ、隙あらば3点目を取りに行く姿勢でプレー。最後まで我慢強く戦って完封勝ちを収めました。

移動などもあってコンディション面で難しさはあったはずですが、6日前の北京FC戦とは一変してほぼベストメンバーで臨み、価値ある1勝を挙げるとともに、長谷川竜也不在の左ウイングで先発した宮城天も大島と一緒に退くまでまずまずの働きを見せました。これでリーグ戦の無敗記録は22に伸びました。

前節、大邱FCを下してグループステージの目標を達成した川崎は、山村和也をゲームキャプテンとして大幅にメンバーを入れ替えて臨みました。週末に清水エスパルスとのリーグ戦、その後に天皇杯を控えている中での鬼木達監督の選択でした。

出場した選手に気負いや空回りといったものはまったく見られませんでした。とはいえ、プレッシャーの少ないセンターバックからの球出しを起点にサイドに偏りがちになっていた攻撃のバリエーションの部分や連携面では個性の強いファーストチョイスの面々と比べると物足りなさはあったものの、結果的に前後半に2点ずつ奪って勝利を収めました。

フル出場した中で際立っていたのは、ゴールを含め3得点に絡んだウイングの宮城天とプレースキッカーを任されて68分にはフリーキックからオウンゴールを誘発した小塚和季です。小塚はその前に紛れもない自身によるゴールを決めており、インサイドハーフとして中盤での散らし役としても貢献しました。

残り10分を切ってからは、足をつらせた知念慶に代わってレアンドロ・ダミアンが入ったのを皮切りにアンカーとして谷口彰悟、そして家長昭博が加わり、チームの色合いを変えて試合をクローズしました。

幸いなことにこのゲームでは特段目立った負傷者は出ずに済み、北京のシュートは81分の1本しか与えていません。ベンチ外で休養を与えられたチョン・ソンリョンに代わって最後尾で構えた丹野研太が慌てるシーンはありませんでした。

最終戦も勝ったことによって、グループステージ6試合全勝での首位通過を決めました。東京オリンピック後、シーズン後半になると等々力陸上競技場が使えないためアウェイゲームの続くリーグ戦に加え、ルヴァンカップも日程に組み込まれる過密さを考えても、たくさんのプレーヤーが試合に絡んで戦い抜けたことはプラス材料となるでしょう。


難しい試合でした。グループステージ突破をかけた大邱との一戦は終盤まで気の抜けないゲームになりました。

序盤は川崎に自陣でのらしくないミスが散見され、簡単に相手にボールを渡す場面がありましたが、徐々に改善されて安定感を取り戻します。

35分、旗手怜央の右からのクロスを受けた三笘薫がシュートを打つもポストをヒット。反応の難しいこぼれ球に対して体を投げ出したレアンドロ・ダミアンが頭で先制点をもたらします。

ところが43分、エジガルに同点弾を決められてしまいます。安庸佑のクロスに飛んだ谷口彰悟とジョアン・シミッチが重なり、易々と大邱の背番号9にボックスの中央でボールを渡す結果となりました。

追い付いて勢いの出た大邱は後半もじっくりビルドアップするというよりも積極的にロングボールを多用しながら、ピッチを幅広く動くセシーニャを絡めて攻めてきます。

我慢を強いられる苦しい展開の中で違いを見せたのは家長昭博でした。アタッキングサードまで進むと的確にボールを扱い、角度の厳しいところからシュートを放って伏線を張った上で、55分には脇坂泰斗にラストパスを出し決定機を演出するなど非常に効果的な働きを見せます。

そうした中、勝ち越しとなる2点目は得意の即時奪回から生まれました。脇坂がイ・グノからボールを奪い、レアンドロ・ダミアンが仕留めます。

スタメンを引っ張った後の最初の交代では脇坂とシミッチをベンチに下げます。ここですでにイエローカードをもらっていたシミッチのポジションに大島僚太と山村和也を配し、いつもの4-3-3から4-2-3-1にシステムを変更。後方を厚くして自陣での防御力を高めます。

そして87分、家長のリスタートを起点として、三笘がドリブルで仕掛けてニアゾーンへ進入。その流れでラストパスを入れると、レアンドロ・ダミアンが丁寧なインサイドキックでハットトリックを達成。試合を決定付けるゴールが決まります。

アディショナルタイムには三笘の位置に知念慶を送り込み、前線タッチライン際でキープさせて時計の針を確実に進めます。最後は危なげなく相手陣内で逃げ切りました。

過去4戦とはスタジアムが異なりビッチコンディションが悪い中、普段通りのショートパスを連発するプレーを思うように披露できないところもありながら、全員が労を惜しまず攻守にわたって集中した結果、一発勝負のノックアウトステージ進出を決めました。

次の大邱FC戦を万全の体勢で迎えるためにも、川崎にとっては決して落とせないゲームでした。実際には得点を取るまでに苦労しましたが、とにもかくにも無事に勝利で終えることができました。

前半は数的有利なサイドを重視するというよりは、センターバックの山村和也、車屋紳太郎から相手中盤4枚の守備ラインを通過するパスを数多く供給して崩していきました。

先制点は川崎が絶えず行う前線からの守備がきっかけとなります。長谷川竜也のプレッシャーを嫌った相手のバックパスを知念慶がさらってゴールに結び付けました。

以降は形はつくるものの、アンソニー・ピンザスの好セーブにも阻まれて追加点が奪えません。後半はユナイテッド・シティがよりコンパクトな陣形をとるようになり、センターバックからの縦パスが通りにくくなりましたが、川崎が焦れることはなく地道に得点機会を窺いました。

ただ、さすがに2点目が遠い時間が長く続いたため、鬼木達監督は残り20分を切った段階で右サイドを梃入れ。山根視来、家長昭博を揃って投入します。

その効果は覿面でした。78分、家長がニアゾーンに走る山根にパスを出し、山根は懸命にマイナスのクロスを入れます。それを脇坂泰斗が横に流し、最後は長谷川が詰めました。

時間帯を考えてもセーフティリードと言えるスコアになり、終盤のキーラン・ヘイズのミドルシュートはチョン・ソンリョンが防いだことによってクリーンシートで試合をクローズできました。

欲を言えば、この先何が起こるかわからないことを考えて大量点が欲しいゲームではありましたが、最低限の勝ち点3は獲得しました。これで次の試合に引き分け以上でノックアウトステージ進出が確定します。



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