22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

カテゴリ: サッカー

センターバックの谷口栄斗に先にハットトリックを達成されましたが、ゲームキャプテンを務めた山田新が残り数分のところでハットトリックを成し遂げ、川崎は勝利を挙げました。

今シーズンを象徴するかのような苦しい試合でした。90分を通して、リードしては追い付かれる展開が続きます。

序盤はヴェルディがロングボールを多用し、川崎のビルドアップの際には高めの位置からプレスをかけてきました。

その中で川崎陣内のボックス付近で二度、フリーキックを与えはしたものの、決定機にはさせずに凌ぎます。

相手のミスに乗じた形で山田新が得たPKを、16分に自ら沈めて先制。6分後には橘田健人がボックスで粘った後、ファン・ウェルメスケルケン・際がクロスを入れ、山田新が下がりながら頭で合わせて0-2としました。

ただ、これでセーフティリードとならないのが、リーグ戦での川崎。ヴェルディが最終ラインを4枚に変えた後に、見木友哉に得点を許します。

ホームチームの勢いは止まりません。ハーフタイムに追い付かれはしませんでしたが、後半開始早々に谷口に決められました。

その前には遠野大弥のグラウンダーのクロスに山田新が飛び込むも触れない場面があっただけに、チャンスを活かせなかった悔しさが生まれます。

これ以上、相手に押し込まれないよう、鬼木達監督は後方の手当てをします。すでに警告を受けていた佐々木旭を下げてジェジエウを、さらに山本悠樹に代えて河原創を投入しました。

安定感が増したことで、早速、勝ち越し点が生まれます。三浦颯太のスローインを受けた山田新がボックスで耐えてキープし、マイナスのラストパスを供給。ファン・ウェルメスケルケンが美しくまっすぐなシュートを叩き込みました。

65分には山田新のシュートのこぼれをマルシーニョが体を倒しながら合わせ、リードを広げます。

2-4になり、今度こそセーフティリードかに思われましたが、リスタートから谷口に2発食らわされました。谷口に奪われた計3点のうち、山田新のクリアが不十分なケースが2回ありました。

互いにゴールを目指してぶつかり合う中での90+4分、チョン・ソンリョンのロングキックを途中出場のエリソンが触り、転々とするボールに走った山田新が力強さを見せながらフィニッシュ。勝ち点3を手繰り寄せるゴールを決めました。

残り2分のアディショナルタイムを確実に進めて、リーグ戦では久々の勝利となりました。次はAFCチャンピオンズリーグエリートの山東泰山戦を挟んで、ホームでのリーグ最終戦です。






3ヵ月前と比較すると、両チームのキックオフ時にピッチに立つ選手、両ベンチ入りメンバー、浦和の指揮官、そして審判団に一部変更がなされ、ピッチコンディションと気候が改善された環境で、45分限定の熱い戦いが繰り広げられました。

互いにいつも以上に強度高く圧力をかけ合う中で、すでに1点ビハインドの川崎はまず同点に追い付くことを最優先に考えます。

ゆえに時間をかけずに前線にボールを送る機会も多くなり、必然的にじっくりつないで様子を見ることは少なくなります。

その勢いの中で、大島僚太が倒されて浦和のボックス付近で得たフリーキックを起点にして、試合を振り出しに戻しました。

三浦颯太の最初のプレースキックからは得点にならなかったものの、セカンドボールを活かして再び三浦まで戻り、上げたクロスを小林悠が合わせます。

背番号11は、マリウス・ホイブラーテンの前で頭を合わせ、西川周作の頭上を通るコースに飛ばしてネットを揺らしたのです。

前半出ていた脇坂泰斗が再開までの間に負傷して出られないがために、小林は起用されて鬼木達監督の期待に応えた形です。

大島が再開して11分で河原創と代わり、その河原のクロスにまたしても小林がすばやく合わせた場面は、惜しくもゴールを外れます。

ホームの浦和も当然ながら防戦一方にはならず、8月に行われた前半の段階で得点を挙げていた渡邊凌磨を中心に、川崎ゴールへと攻め込んできました。

川崎にとって最大のピンチは、サミュエル・グスタフソンのワンタッチの展開から渡邊が運び、松尾佑介がシュートを放ったシーンです。チョン・ソンリョンの手も届かないボールは、ポストを叩いて外れます。

短い時間ながら交代枠を使いつつ、最後まで試合を優位に進めた川崎でしたが、浦和の守備は固く、肝心の逆転弾は奪えません。ラストプレーとなったコーナーキックも活かし切れず、勝ち点1を獲得するにとどまりました。

とはいえ、直近の京都サンガF.C.戦は追い付かれてのドローだっただけに、劣勢から再開した45分で追い付けたのは収穫になったはずです。


どちらも勝てば残留というゲームで、互いに攻め合いながらも1-1の引き分けに終わりました。

4日前の上海海港戦と同様、前線にはエリソンと瀬川祐輔を立たせてスタートした川崎。ただ、京都の当たりの激しい守備によって、じっくりボールを保持する余裕がなく、一気に相手DFの背後めがけてパスを出します。

それが奏功せず、マルシーニョがセンターサークル付近で軽やかに相手をかわした際に京都ゴールに近づくことができました。

互いにシュートを記録できないままでしたが、京都はマルコ・トゥーリオのヘッドを皮切りにシュートが続きます。

一方の川崎は、同じ頃から保持する時間ができるようになり、自分達のペースをつかみ始めました。やがて遠野大弥が強烈なシュートを果敢に打ってゴールを狙います。

スコアが動かずに前半が終わると、鬼木達監督は後半頭に3枚代えを行いました。山本悠樹、遠野、エリソンに代え、大島僚太、家長昭博、山田新がピッチに入ります。

それでも後半立ち上がりに攻勢に出たのはホームチームでした。平戸太貴の精度の高いプレースキックがチョン・ソンリョンを襲います。

流れが悪い中、三浦颯太のカットしたボールを大島が活かしました。やさしい浮き球を前線に送ると、山田が収め、体勢を崩しかけながらも突き進んでフィニッシュ。交代が当たって、先制に成功しました。

その後も大島を起点に変化をつけたコーナーキックからマルシーニョが惜しいヘッドを放ちますが、試合を決定づける2点目が奪えません。

するとボックス内でマルコ・トゥーリオの蹴ったボールが橘田健人の腕に当たり、オンフィールドレビューの結果、ハンドによるPKの判定が下ります。

マルコ・トゥーリオのキックはチョン・ソンリョンが止めたものの、蹴る前に守護神が動いたためやり直しになり、変わって蹴ったラファエル・エリアスに同点弾を許してしまいました。

勝ち越したい両チームはファイナルホイッスルが鳴るまで走り続けます。しかし、両GKの好セーブがスコアを動かしません。

結局、この試合だけでは残留は決まらず、他会場の結果を受けて両者の残留が確定しました。







90+2分、山本悠樹のフリーキックによる得点が精一杯でした。後半は果敢に攻めた川崎でしたが、開始して30分になる前に喫した3点が大きくのしかかりました。

最初の2失点はいずれも鹿島のスローインからでした。先制は古巣対決となる知念慶が、柴崎岳の美しいクロスに合わせて元FWの本領を発揮した形です。

3失点目は、脇坂泰斗が負傷して、ピッチ上に10人しかいない間に許しました。ルーズボールに反応した三竿健斗のコントロールショットが、チョン・ソンリョンの手の及ばないコースに飛んだのです。

前半のうちに1点でも返せれば、自分達に流れを引き戻せたかもしれませんが、ファイナルサードへの侵入は少なく、形ができません。

最初の45分では三浦颯太の強烈ミドルがファーポストをヒットしたくらいしか、惜しい場面はありませんでした。

山本が右サイドを走る橘田健人に出し、その折り返しを山田新が合わせきれなかったシーンは、シュートにカウントされないプレーでした。

ハーフタイムで立て直した川崎は、メンバーを代えずとも攻撃の形をつくりだします。

マルシーニョと三浦が絡みながら、ようやく早川友基を倒すほどの攻めを披露するものの、チーム得点王である山田のシュートが決まりません。

得点の匂いは漂いますが、漂うだけで時間が経過。70分に鬼木達監督は3枚代えを行い、中盤センターを山本、そしてここで投入した大島僚太に任せます。右サイドバックも瀬川祐輔に担当させ、是が非でもゴールを挙げようとします。

対する鹿島は、手を焼いていたマルシーニョへの対応のため、津久井佳祐を実質、右ウイングバックとして送り込みます。

すると今度は川崎が遠野大弥を左サイドに投入。キャラクターを変えて打開を図ります。

それでも時間は刻一刻と過ぎ、エリソンが受けたファウルでフリーキックを獲得。ようやく冒頭の通り山本が沈めました。川崎としてはセットプレーで直接決めたのは久しぶりで、その点では喜ばしいゴールです。

ただ、それ以上の得点は生まれず、鹿島にシーズンダブルを献上。川崎のホームでは鹿島相手に9年ぶりのリーグ戦での敗戦になります。

後半の意識、集中を持って挑んでいれば、結果は変わったかもしれません。両チームのシュート数は互角、コーナーキックの数では川崎が上回っています。つくづく序盤の油断とも言っていいプレーが悔やまれるゲームでした。




1点ビハインドの68分、鬼木達監督は4人同時交代を決行。中盤センターを当初からプレーする脇坂泰斗、山本悠樹に任せ、新たにサイドに遠野大弥、山内日向汰、前線に家長昭博、小林悠を配します。

この交代策が実って、勝ち点1を獲得しました。

立ち上がりは休養十分なガンバペースで進みます。デザインされたコーナーキックで宇佐美貴史がシュートを放ち、7分にはウェルトンがゴールを決めました。

スケジュール的に厳しい川崎は、機敏な相手に苦しめられますが、ホームチームとして徐々に攻撃の形をつくりだします。

ただ、ガンバは福岡将太、中谷進之介を中心とした真ん中の守備が固く、前半の川崎は決定機をつくれません。

メンバーを代えずに臨んだ後半。脇坂と山本による変化をつけたフリーキックで、ようやく最初の決定機をつくります。

山本の上げたボールをエリソンが落とし、山田新がそれに突っ込みます。至近距離に詰めていた一森純に止められはしたものの、可能性を感じる攻めでした。

この流れを加速させるべく投入されたのが、前述の4人です。

81分、この試合で多用していた後方からのロングボールが得点に結び付きました。丸山祐市の蹴ったボールを家長が落とし、左に流れた遠野がポケットから折り返すと、小林が福岡に競り勝って頭で叩き込みました。

感情を爆発させるゴールセレブレーションをすることなく、背番号11はボールを抱えてセンターサークルに向かいます。

鬼木監督が今シーズンでの退任を発表した直後のゲームだけに、同点で終わらせずに勝ちたい試合でした。攻撃に特化した川崎は、引き続き攻めます。

林大地らの3枚代えを行ったガンバ相手に怯まず戦ったものの、6分あったアディショナルタイムでも肝心の決勝点は生まれないまま、タイムアップとなりました。

先日のルヴァンカップ敗退のショックも、勝って払拭したいところでしたが、ともあれ黒星だけは回避しました。


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