常にボールを握り続けながら、相手を完璧に抑え込み、最終的に黄金のトロフィーを手にしたのはスペインでした。

アルゼンチンは120分で2本しかシュートが打てませんでした。自陣でフェラン・トーレスに隙を与えてしまったジュリアーノ・シメオネによる反撃のシュートも、クロスバーの上に飛んでいきました。

前回王者の誤算は、最終ラインの選手が次々と負傷したことでした。ハーフタイムを待たずにピッチを去ったリサンドロ・マルティネスだけでなく、クリスティアン・ロメロまでも後半のハイドレーションブレイク以降はプレー続行不可能でした。

要の選手が思わぬ形でピッチを去ると、チーム全体に与える影響、とりわけ勝敗を大きく左右してしまうというのは、今大会を通して様々なチームで見られました。アルゼンチンとて例外ではなかったのです。

加えてエンソ・フェルナンデスが2枚目のイエローカードをもらい、90+3分に退場。10人で守るのはあまりにも酷でした。リオネル・メッシを最前線に残しての5-3-1では、耐え切ることはできません。

対するスペインは盤石でした。期待されたラミン・ヤマルが輝きを解き放つ場面こそほとんどありませんでしたが、大会のベストプレーヤー、ゴールデンボールに選出されたロドリの落ち着きは突出していました。それだけにアルゼンチンも背番号16を消そうとしましたが、時折最終ラインにも落ちるロドリを封じることはできません。

ルイス・デ・ラ・フエンテ監督はそのロドリを最後まで引っ張らず、延長に入った99分にマルティン・スビメンディと交代します。つなぎ役として欠かせないはずの大黒柱を代えてなお、戦えるスペインはさすがでした。

個人技術の高さ、守備意識の強さ。それらを全員欠かさず持っていることがスペインの大きな強みでした。大きな波がなく戦えるからこその抜群の安定感です。

スペインの先制点は106分、ペドロ・ポロのファーへのクロスをニコ・ウィリアムズが頭で落とし、アルゼンチンDFがいない場所、マイナスのボールを受けられる位置にフェラン・トーレスがいたことで生まれました。

守ってはアルゼンチンをほとんどボックスの中に攻め入れさせず、ユニフォームの星を二つに増やしたスペイン。美しく強いラ・ロハの復活です。EURO2024ではノックアウトステージの全試合で1失点を喫したものの、今回はグループステージからの全8試合で――その中にはポルトガルやフランスも含まれますが――ベルギーのシャルル・デ・ケテラーレによるヘディングでのゴールしか許しませんでした。

16年ぶりに返り咲いた世界王者は4年後、ホスト国の一つとしてトロフィーを死守する側に回ります。