サウジアラビアでの悔しさを晴らしたいのであれば、まずは再び国内で上位に立たなければなりません。だからこそ大事な帰国後の初戦、アウェイとはいえ首位の鹿島を叩きたいゲームでした。

三浦颯太と脇坂泰斗が不在で、左サイドバックには佐々木旭、トップ下には成長著しい大関友翔が起用されます。

わずか7分でコーナーキックから佐々木が決めてリードし、その後も決定機をつくっていました。

相手コーナーキックからのカウンターを伊藤達哉とマルシーニョで行い、鹿島ゴールに迫りました。また、大関が高い位置で奪って、あとは決めるだけというシチュエーションもありました。

いずれも決めきれずに終わり、畳み掛けることができません。ここで容赦なく仕留める力があれば、非常に楽にゲームを進められたでしょう。

川崎が再三ビッグチャンスを逃すと、今度は鹿島の番です。レオ・セアラのシュートは山口瑠伊が難なく押さえたものの、そこから鹿島の流れができます。

マルシーニョの積極的なプレスバックも効いて、川崎は耐えていましたが、45+1分に右からのクロスを山口が弾き損ね、鈴木優磨にマイナスのパスを出されると、舩橋佑に決められてしまいました。

まだ同点ながらスタンドのアントラーズレッドが揺れ、川崎は悪い状態でハーフタイムを迎えます。

ただ、結果から言えば、気候も雰囲気も前の試合の比ではないはずながら、川崎は逆境を跳ね返せませんでした。

大関が後半早い段階で足をつらせて離脱。脇坂がいないため、山内日向汰が呼ばれます。

一方の鹿島もレオ・セアラが離脱して田川亨介が入ると、こちらは敵将となった鬼木達監督の采配が的中。抜け出して山口との1対1をつくり、冷静に沈めました。

逆転を許してからの11分間、川崎に選手交代はありませんでした。早く動いて流れを引き戻す必要があったはずですが、長谷部茂利監督による3枚代えが行われたのは76分のことでした。

それまではフィニッシュまで至らないシーンが続いていましたが、以降は代わって入った山田新にボールを集めていき、山田も期待に応えようとシュートを放ちます。しかし、クロスバーに嫌われるなどしてネットを揺らせません。

チームとしてはシュート数、コーナーキックの数ともに鹿島を上回りますが、勝ち点1さえ取れませんでした。

負けてしまったこのゲームで心配な点は、高井幸大のパフォーマンスです。守備面では大きな破綻は見られなかったものの、パス出しにミスが目立ちました。疲労なのか、激戦で燃え尽きたのかはわかりませんが、一旦休養を与える必要があるのかもしれません。

新たに始まった5連戦。すぐに次の試合が待っていますので、チームとしては這い上がるために立て直さなければなりません。