ボールを保持しているだけでブーイングを浴びる完全アウェイの環境で、前半の川崎は萎縮したかのようでした。勇敢に戦った準決勝とは別のチームに見えました。

その甘さを逃してくれるアル・アハリではありません。ロベルト・フィルミーノとのパス交換で、ガレーノが鮮やかなフィニッシュ。山口瑠伊が手を伸ばしても届かないコースでした。

さらに三浦颯太がフィルミーノとの激突で膝を痛めてピッチを出ていた間に、フィルミーノの右からのラストパスをフランク・ケシエに叩き込まれます。

持ち味を出せないまま失点を重ね、川崎は苦しい状況に追い込まれました。脇坂泰斗が蹴るはずのフリーキックをエリソンも同時に蹴りに行くという、焦り、苛立ちを感じさせる場面もありました。

後半頭、そのエリソンを下げて山田新を投入。川崎は中盤を飛ばすボールを減らし、きっちりつなぐ姿勢を見せます。

相手が前半ほど詰めてこないのもあり、ボール保持の時間は長くなります。リズムを取り戻し、川崎らしいテンポでボールを動かせるようになりました。

65分、長谷部茂利監督は山本悠樹と家長昭博に代えて、準決勝で躍動した大関友翔、伊藤達哉を送り込みます。

2人は期待に応えたプレーを披露しました。大関はトップ下で攻撃のアクセントとなり、伊藤はドリブルで攻め入って積極的にシュートを放ちました。

しかし、ボックスの中で相手に脅威を与える機会は少なく、シュートが枠内に飛ばないためにエドゥアール・メンディを慌てさせるようなシーンをつくれませんでした。

最後はアル・アハリが時間を使う中で、高井幸大を前線に上げてパワープレーを行うも、得点には結び付きません。

結果がすべての厳しい世界だけに、ファイナリストの名前が後世まで語り継がれることはほとんどありません。

だからこそこの悔しさを乗り越えて、リーグ戦で結果を出して出場権を獲得し、再びアジアの頂点を目指すしかありません。