90+2分、山本悠樹のフリーキックによる得点が精一杯でした。後半は果敢に攻めた川崎でしたが、開始して30分になる前に喫した3点が大きくのしかかりました。

最初の2失点はいずれも鹿島のスローインからでした。先制は古巣対決となる知念慶が、柴崎岳の美しいクロスに合わせて元FWの本領を発揮した形です。

3失点目は、脇坂泰斗が負傷して、ピッチ上に10人しかいない間に許しました。ルーズボールに反応した三竿健斗のコントロールショットが、チョン・ソンリョンの手の及ばないコースに飛んだのです。

前半のうちに1点でも返せれば、自分達に流れを引き戻せたかもしれませんが、ファイナルサードへの侵入は少なく、形ができません。

最初の45分では三浦颯太の強烈ミドルがファーポストをヒットしたくらいしか、惜しい場面はありませんでした。

山本が右サイドを走る橘田健人に出し、その折り返しを山田新が合わせきれなかったシーンは、シュートにカウントされないプレーでした。

ハーフタイムで立て直した川崎は、メンバーを代えずとも攻撃の形をつくりだします。

マルシーニョと三浦が絡みながら、ようやく早川友基を倒すほどの攻めを披露するものの、チーム得点王である山田のシュートが決まりません。

得点の匂いは漂いますが、漂うだけで時間が経過。70分に鬼木達監督は3枚代えを行い、中盤センターを山本、そしてここで投入した大島僚太に任せます。右サイドバックも瀬川祐輔に担当させ、是が非でもゴールを挙げようとします。

対する鹿島は、手を焼いていたマルシーニョへの対応のため、津久井佳祐を実質、右ウイングバックとして送り込みます。

すると今度は川崎が遠野大弥を左サイドに投入。キャラクターを変えて打開を図ります。

それでも時間は刻一刻と過ぎ、エリソンが受けたファウルでフリーキックを獲得。ようやく冒頭の通り山本が沈めました。川崎としてはセットプレーで直接決めたのは久しぶりで、その点では喜ばしいゴールです。

ただ、それ以上の得点は生まれず、鹿島にシーズンダブルを献上。川崎のホームでは鹿島相手に9年ぶりのリーグ戦での敗戦になります。

後半の意識、集中を持って挑んでいれば、結果は変わったかもしれません。両チームのシュート数は互角、コーナーキックの数では川崎が上回っています。つくづく序盤の油断とも言っていいプレーが悔やまれるゲームでした。