現行フォーマットでは最後となる大会を制したのは、このコンペティションに滅法強いマドリーでした。終盤までスコアが動かないゲームの中で、確実にチャンスをものにしました。

最初は慎重に入った両チームでしたが、マルセル・ザビッツァーがマドリー陣内深くに進んだプレーをきっかけにドルトムントがペースをつかみます。

特に前半半ばはドルトムントが圧倒。人数をかけた迫力ある攻撃を披露し、いつゴールが生まれてもおかしくありませんでした。

マッツ・フンメルスがマドリーのセンターバックの間を通すスルーパスを出し、カリム・アデイェミがティボー・クルトワをかわした場面は、最初の決定機でした。ここはカバーに戻ったダニエル・カルバハルがブロックします。

さらにニクラス・フュルクルクが懸命に足を伸ばしたフィニッシュは、惜しくもポストを叩きます。

前半終了間際にもザビッツァーのミドルがクルトワを襲うも見事に防がれました。

マドリーはアタッキングサード、とりわけボックスの中に効果的に侵入できず、ハーフタイムまでに枠外シュート2本しか打てません。

ビニシウスのドリブルは、対峙するユリアン・リエルソンだけでなく、フンメルスも出てきて対応されます。

逆のサイドではカルバハルとフェデリコ・バルベルデが絡んで進むも、そこから中央に持っていけませんでした。

後半、マドリーはカウンターケアをしつつ、前線中央に選手を1人、ないし2人立たせて改善を図ります。ビニシウスは引き続きドリブルで勝負を仕掛けました。

マドリーが少しずつ優位に立つ一方、ドルトムントは前半の勢いが失われます。アデイェミの運動量も落ち、マルコ・ロイスと交代しました。

その交代の2分後、トニ・クロースのコーナーキックをフリーになったカルバハルが合わせて、マドリーが先制に成功します。コーナーキックのきっかけをつくったのは、ビニシウスのドリブルでした。そこから連続してコーナーキックを得てのゴールです。

リードしたマドリーは、無理をせず落ち着いてゲームをコントロールします。カルロ・アンチェロッティ監督はまだ動きません。

ドルトムントはセバスティアン・アレを入れて、フュルクルクと2トップを組ませます。しかし、大事な次の1点はマドリーに入りました。

イアン・マートセンがフンメルスに出したはずのパスが、ジュード・ベリンガムに渡ります。ベリンガムは冷静にフリーのビニシウスに預け、背番号7が確実に決めました。

ここからアンチェロッティ監督が交代カードを切り、試合をクローズするために動きます。まずクロースとベリンガムを下げて、ルカ・モドリッチとホセルを入れました。

アディショナルタイムが近付くと、ロドリゴに代えてエデル・ミリトンを投入。最終ラインの枚数を増やしました。

フュルクルクのゴールもオフサイドの判定で認められなかったドルトムントは、フンメルスが前線に上がり、ターゲットの数を増やします。それでも決定機は生まれず、クルトワがキャッチした際にはボールを大事に抱えて、時計の針を進めます。

追加の5分が経過し、最後のホイッスルが吹かれました。マドリーが通算15回目のヨーロッパ制覇を成し遂げました。

マンチェスター・シティとの準々決勝、バイエルン・ミュンヘンとの準決勝は紙一重の勝負でしたが、例によって追い込まれながら強さを見せたマドリー。チャンピオンズリーグを知り尽くしたエル・ブランコは簡単には敗れません。