劇的勝利とはなりませんでした。それでも大量失点は避けられ、連敗をストップしました。チームをたびたび救ったのは、先発復帰したチョン・ソンリョンです。

開始当初は柏の速くてスムーズな攻撃に手を焼くものの、15分頃からホームチームが攻めの形をつくれるようになります。

まず3トップが絡んで柏ゴールに迫ると、次は脇坂泰斗がボックスに踏み込んでシュート。後者は松本健太に止められはしますが、いい流れができてきます。

そして30分、家長昭博が出したパスをバフェティンビ・ゴミスがつなぎ、脇坂と遠野大弥でやりとりし、リターンを受けた脇坂が体勢を崩しながらフィニッシュ。緩やかにネットに吸い込まれます。

さらに犬飼智也がジェジエウのクリアボールの処理を誤り、マルシーニョに届いて生まれた決定機がありますが、シュートは枠を外れました。この絶好のチャンスを活かせなかったことが、結果的に悔やまれます。

後半は柏が圧力を強め、川崎に襲い掛かります。川崎陣内で長い時間プレーが続き、チョン・ソンリョンが二度のピンチを防ぎました。

その後、柏の勢いに屈するかのように大南拓磨、遠野が警告を受けるファウルを犯し、相手にセットプレーを与えます。

マテウス・サヴィオのリスタートで混戦になったところ、最後は木下康介に押し込まれて、59分に同点に追い付かれました。ちょうどベンチでは瀬古樹と山田新を投入する準備をしていたところでした。

失点後にそのまま2人が入り、さらに山内日向汰、ファン・ウェルメスケルケン・際も加わり、5人目として脇坂を下げてエリソンを入れ、勝ち越しを狙います。

エリソン投入後は山田が右サイドハーフに、家長がトップ下につく4-2-3-1に変更。山内が時折、逆サイドに顔を出す場面もありました。

アディショナルタイムにフリーキックを得ると、瀬古のキックにジェジエウが合わせて決勝点が生まれたかに思われました。ところがVARチェックでオフサイドの判定となり、ゴールは認められません。

ジェジエウが飛び込んだ際、松本と接触し、松本は脳震盪の疑いでピッチを去ります。この時の処置で追加時間が長くなったものの、スコアは動かずに終わりました。

川崎の倍以上となる13本のシュートを柏に打たれながら、チョン・ソンリョンだけでなく、ディフェンス陣や橘田健人の決死の守りで1失点にとどめました。それでも2点目が遠く、勝ち点3にはつながりませんでした。