ジェジエウが遂に戦列復帰を果たした一方で、大南拓磨が深刻ではないかと思われる負傷。大南はもともとこのゲームには出場停止で出られませんでしたが、川崎は未だに離脱者続出の悪循環から抜け切れません。

そうした中での天皇杯決勝の前哨戦でした。この試合が終わると次の公式戦まで1週間強空くとはいえ、タイ遠征から戻ったばかりの厳しいコンディションで、残留争いの渦中にいる柏に対峙します。

前半はマルシーニョを走らせつつ、最後はバフェティンビ・ゴミスに合わせる形を狙って戦いました。ゴミスへのボールは徐々にですが、以前よりも合うようになっています。

ただ疲労もあってか、つなぎを大事にする川崎には珍しく、ミドルゾーンでパスが引っ掛かるケースが多く、山田雄士に先制を許した場面もそのミスが原因でした。柏からするとマテウス・サヴィオのスペースを突いた好判断のパスも、ゴールの決め手になりました。

失点のきっかけをつくってしまった瀬古樹は前半で下がり、BGパトゥム・ユナイテッド戦はハーフタイムで退いた遠野大弥が入ります。

逆襲のために比較的フレッシュな遠野が入ったものの、細谷真大に対するファウルがオンフィールドレビューの結果、退場の判定となりました。ただでさえ柏に比べてコンディションがいいとは言えない川崎は、60分になる前に10人での戦いを強いられます。

それでもアウェイチームは試合を捨てません。鬼木達監督が次々と交代カードを切り、システムも4-4-1から4-3-2へと変えていきます。

すると70分、脇坂泰斗が広げて山根視来がクロスを入れ、ゴミスがつくった後方のスペースに走り込んだ橘田健人が最後に合わせました。スタートから出ていた面々が、苦しい状況下で試合を振り出しに戻します。

その後は選手を入れ替え、細谷に集めて攻める柏の攻撃を全員で耐えながら、チョン・ソンリョンのところでは時間を使いつつも、チャンスと見れば攻める姿勢を貫きました。

特に脇坂、山根、橘田は最後まで労を惜しまずピッチを走り回りました。それゆえに柏に勝ち越しを許さず、逆に相手ゴールに迫るシーンをつくれたのです。

結局、1-1のタイスコアに終わりました。残留を確実にするために是が非でも3ポイントの欲しかった柏相手に、数的不利になりながらの引き分けです。川崎としては決して悪い結果ではありません。