奇策は用いなかったものの、産みの苦しみを味わいました。とりわけケビン・デ・ブライネが負傷退場した36分以降は、インテルが5-3-2で固めたこともありますが、アタッキングサードに思うようにボールが運べなくなりました。シティが保持していてもどちらかと言えば持たされているようで、相手にはさほど脅威を与えられていませんでした。

攻撃において決定的な仕事のできる背番号17が不在のピッチは、ボールを持てる選手は多いものの幅広く動いて受けて鋭く捌ける選手がおらず、インテルの陣形が簡単には崩れません。

それだけにまだ離脱者のいなかった27分の決定機、ロドリを起点にデ・ブライネとアーリン・ホーランのホットラインでシュートまで行ったシーンは、ゴールに結び付けたかったビッグチャンスでした。

最強の称号をかけた一発勝負ゆえに膠着状態が続く中、ベルナルド・シウバとマヌエル・アカンジの連携ミスでインテルに絶好のチャンスが訪れます。転がるボールを奪ったラウタロ・マルティネスがエデルソンと1対1になりますが、シティの守護神がピンチを防ぎました。

緊迫したゲームが動いたのは68分でした。アカンジがボールを持って前に進んで、インテル側を若干の混乱に陥れると、ベルナルド・シウバがポケットでそのパスを受けてクロスを入れます。ボールはフランチェスコ・アチェルビに当たってこぼれ、それをフリーのロドリが狙って沈めました。

1点を追うインテルはシモーネ・インザーギ監督が両ウイングバックを同時に代えるなど積極的な交代策を行い、ロメル・ルカクを前線のターゲットにして攻めます。

それでもエデルソンとルベン・ディアスを中心とし、センターバックタイプを4人並べたシティのディフェンスは安定感があり、再三のピンチを凌ぎました。また、フェデリコ・ディマルコの柔らかいヘッドはクロスバーに救われます。

シティサイドもホーランがつぶれた中、フィル・フォーデンが抜け出してシュートを放つ場面をつくるも、アンドレ・オナナを慌てさせるには至りません。

終盤はシティが追加点を奪えないままインテルの猛攻に耐える形となりますが、5分のアディショナルタイムも懸命の守備で乗り切り、悲願のチャンピオンズリーグ初優勝を成し遂げました。

これでジョゼップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティはプレミアリーグ、FAカップと合わせて三冠を達成。歴史に名を残す真のビッグクラブとなりました。