新潟に乗り込んだ川崎は、橘田健人、脇坂泰斗、大島僚太の3人が中盤で比較的余裕を持ってボールをキープすることができ、彼らがしきりに立つライン間へのパスがよく通る滑り出しでした。

決して悪くない入りをしただけに、19分の大島の負傷交代はチームにとって大きな痛手でした。不運にもいい流れを絶たれた川崎は、その3分後に山根視来が自陣で渡邊泰基にボールを奪われ、最後は伊藤涼太郎にゴールを許してしまいます。今シーズン、ここまですべての試合で先制を許した格好です。

加えて、まるで呪われているかのように山村和也までも前半のうちに負傷し、松長根悠仁がハーフタイム明けに左サイドバックとして出番を得ます。これで同ポジションを務めていた佐々木旭がセンターバックに移りました。

アクシデントで2人代わっても吹っ切って戦う川崎は、右サイドで家長昭博、宮代大聖と絡んだ山根がクロスと見せかけながらシュートを放ち、脇坂はドリブルで中央を縫ってマルシーニョにつなげて新潟ゴールに迫ります。

攻撃への意識を強めた一方で、中盤の激しいプレスがはまらず、相手に流れるようなカウンターを許す場面が目立ち始めました。ただ、チョン・ソンリョンの好セーブもあり、かろうじて最小失点にとどめます。

攻めたいとはいえ守備の安定も必要となる中、鬼木達監督は62分のジョアン・シミッチと山田新投入と同時に4-2-3-1にシステムを変更。ミドルゾーンに厚みを加えます。

またシミッチの存在で高さが増したため、家長のコーナーキックをシミッチが競ってマルシーニョのシュートに結び付けるチャンスが生まれました。

その後、マルシーニョに変わって瀬川祐輔がトップとして入った際には松長根の立ち位置を変え、遠野大弥を左ウイングバックにした3-4-1-2に変えます。残りは15分を切っていましたが、死力を尽くして同点に追い付こうとしました。

しばらくして遠野と瀬川の立ち位置を変えた点は違うものの、システム変更の流れは前節と同じでした。それでもこの日は無得点に終わり、新潟にJ1復帰後初勝利を献上することになりました。

ジェジエウもブラジルに帰国せざるを得ないほどの長期離脱となっており、負傷者のあまりの多さに最終ラインの危機的状況はしばらく回避できません。後方が安定しない中でも我慢強い戦いをして、勝ち点をもぎ取るほかありません。