早い時間のキックオフとなったこのゲーム、開始10分は特に湘南の勢いに圧倒されました。相手陣内までボールを運ぶことがままならず、ビルドアップ時にはチョン・ソンリョンのパスを奪われてピンチを招くなどしましたが、幸い早い時間帯の失点は喫しないで済みました。

システムは違いますが、湘南が鹿島アントラーズと同様に中央を固めた守備を敷くこともあり、山根視来を橘田健人のそばに立たせる形での打開は難しく、ゴールキックはつながずにほとんどをチョン・ソンリョンからのロングキックに変更します。

前半は絶好機の数で上回られたもののスコアレスで折り返し、後半頭からは脇坂泰斗に代えて瀬川祐輔を投入して家長昭博をトップ下にした4-2-3-1に変えます。

危機はその後起こります。コーナーキックにしまいとジェジエウが持ち場を離れてゴールライン手前でクリアした際に負傷。チームのためによかれと思ってしたプレーが大きなダメージになってしまいます。

ジェジエウはプレー続行を希望するも現実的には厳しく、この日唯一のDF登録だったルーキーの松長根悠仁と交代することになりました。松長根は左サイドバックに入り、佐々木旭がスライドして左センターバックを務めます。

松長根はデビュー戦とは思えない堂々としたプレーを披露しますが、開幕戦レギュラーのセンターバックがいなくなった64分、永木亮太のパスが川崎ゴール前を横断。ボックスの中で山根が平岡大陽、タリク・エルユヌシと1対2の局面をつくられ、平岡に鮮やかなゴールを決められました。

8分後、鬼木達監督が決断します。遠野大弥、山田新を送り込むと同時に立ち位置を変えます。佐々木と大南拓磨の位置を入れ替えて3バックとし、瀬川を山田新のそば、中央に立たせます。

真ん中に厚みが生まれ、81分の同点弾も中央の攻略によって生まれました。最終的には相手に当たったこぼれ球を瀬川が冷静に流し込みます。川崎加入後初ゴールが貴重な同点ゴールになりました。

ただ、終盤の山田新のシュートは肩に当たって決まらず、前節のように逆転のゴールを奪うまでには至りません。ドローでの決着となり、またしても湘南に勝つことができませんでした。退場者は出さなかったとはいえ、センターバックの主力不在に引き続き悩まされる状況です。