会心の勝利でした。2位につける好調な広島との負けられない一戦で4-0の勝利を収めたのです。先日の湘南ベルマーレ戦とは反対に、スタメンが違うとはいえ天皇杯を戦った広島の方が中2日の過密日程だったのもあり、1週間あいた川崎は頭も体もフレッシュな状態で戦えていました。

序盤こそ広島のハイプレスに苦しみ、マルシーニョを生かした攻めは住吉ジェラニレショーンに阻まれることがありましたが、次第にチーム全体でそれを解消していきます。

ホームチームの息を吹き返らせたのは、チョン・ソンリョンのファインセーブでした。野津田岳人のコーナーキックが流れて川村拓夢が放ったシュートを懸命に止めて、先制されるのを防ぎ、流れを引き寄せました。守護神はその後も精度の高いロングフィードで大きく貢献します。

時間の経過とともに攻撃時にジェジエウ、谷口彰悟がハーフウェイラインを超えられるようになり、主導権を握り出します。そして生まれたのが圧巻の先制弾でした。

指揮官の声に呼応するように攻め続け、ボールを失ってもセカンドボールを回収し、相手を押し下げたままゴールへと結び付けました。最後は佐々木旭の左足によるマイナスのクロスを家長昭博が合わせてフィニッシュ。近くにはマルシーニョと山根視来も走り込んでおり、こぼれ球への意識の高さも見られました。

佐々木旭は、登里享平や車屋紳太郎が務めていた左サイドバックのポジションに戻ることができ、先制のアシストだけでなくたびたび左足から正確なパスを繰り出してプレーのリズムを保ちました。

後半も川崎の勢いは衰えず、59分に脇坂泰斗の反転シュートが決まり、脇坂の切り返しに騙された住吉のファウルで得たPKは、家長ではなく知念慶が担当して3点目を奪いました。

リードが広がると広島の陣形も間延びし、川崎は自在にボールを動かして攻められるようになります。手を緩めずに攻撃を続け、78分にはマルシーニョのシュートが弾かれたこぼれを家長が豪快に決めました。

広島は知念のPKのタイミングでナッシム・ベン・カリファとピエロス・ソティリウを同時投入してきましたが、川崎は最後まで彼らに仕事をさせませんでした。

終盤はやや押し込まれる時間が続き、変化をつけたコーナーキックから野津田に強烈なミドルを打たれたものの、ポストに救われて失点は免れました。

直接対決に勝ち、2位に浮上した川崎。サガン鳥栖戦の戦いぶりが一時的なチーム状態の回復ではなかったことがわかるゲームでしたが、83分まで交代カードを切らなかったことが、この試合を含む過密な3連戦にどう影響するかが気がかりではあります。