引き分けに終わった前節と同じスタメンで臨んだ川崎ですが、遠野大弥とチャナティップ・ソングラシンのポジションを入れ替え、遠野を左ウイングに配しました。

川崎のビルドアップの際、ブルーノ・メンデスと山田寛人がアンカーの大島僚太の脇に立って、谷口彰悟と車屋紳太郎を牽制しますが、大島は柔軟に移動。時にはセンターバックの間に立って数的優位をつくりだします。

自陣でボールを引っ掛けられるケースは少なく、川崎は主体的にゲームを進めます。開始4分には大島のパスを起点に脇坂泰斗と家長昭博が連続してシュートを放ちました。

その後、ボールを保持しながら15分ほど攻めあぐねていたものの、再びゴールに迫るシーンが増え始めます。

大島中心に流れをつかんでいた川崎は、36分に脇坂のコーナーキックを谷口が合わせて先制しました。蹴る直前にショートコーナーをやめたためにチャナティップがセレッソゴール前を横切り、それが相手の視界に入って邪魔をする格好となりました。

しかしここからセレッソの逆襲が始まります。立て続けにコーナーキックを獲得したあたりから勢いを増し、後半になってもそれは衰えませんでした。

車屋の腕にボールが当たったシーンは、VARによってハンドによるPKとはならなかったものの、セレッソサイドはヒートアップ。得点への執念が強まりました。

結果、距離はあっても正確なキックを繰り出せる鈴木徳真のリスタートから2失点を喫しました。

逆転弾をもたらすきっかけとなった佐々木旭のファウルは、場所や時間帯を考えてもいらないファウルでした。鈴木のキックを考えれば、ゴールから遠い位置でも余計なフリーキックを与えない必要があります。

もちろん失点しても相手より多く得点を重ねられればいいのですが、川崎は時間の経過とともにまたも失速しました。攻撃の安定感、テンポが失われていき、鬼木達監督が選手交代と配置変えを行っても改善されません。

たとえば、交代によって橘田健人は左サイドバックからインサイドハーフに変わりますが、慣れないポジションをこなしていたがゆえに持ち前の機動力が失われていました。

また、79分以降は宮城天を入れたことでマルシーニョを右ウイングに移動させるも、右では躍動感が出ず、イージーなミスも犯してしまいます。

リードを許した後は残り少ない時間でパワープレーにシフトし、山村和也も前線に入れます。最低でも勝ち点1を持ち帰りたい試合でしたが実りません。

今節を終えて、横浜F・マリノスと鹿島アントラーズがともに勝ったため、両者との差は開く一方です。優勝争いから脱落しないためには、これ以上勝ち点を落とすわけにはいきません。