リーグ戦においては前節から継続された前半の充実ぶりにもかかわらず、次第に失速してしまい、前回対戦とは逆に川崎が先制しながら追い付かれる展開となりました。

前半は攻撃もさることながら、守備面の激しさが効いていました。インサイドハーフを務めた脇坂泰斗、遠野大弥のプレスバック、そして相手陣内深い位置でボールロストした際のカウンタープレスに迫力がありました。加えて左サイドバック起用となった橘田健人のボール奪取能力の高さも随所に見られました。

こうした激しさゆえに時折見せる磐田のカウンターを確実に封じることができ、シュートも打たせませんでした。トップに入った杉本健勇にも仕事をさせません。

15分過ぎ、最初のコーナーキックを獲得したあたりから川崎は攻勢に出ます。磐田が5-4-1で構えていても動じることなく、大島僚太、チャナティップ・ソングラシン、家長昭博を中心にパスを入れていきました。

強気の姿勢を貫く中で33分に谷口彰悟の背後を狙った浮き球に抜け出した山根視来が、小林悠へのラストパスにも見えるフィニッシュで先制します。裏を狙うボールはあまり繰り出していなかったため、非常に効果的でした。

後半になると磐田は大森晃太郎を前に出して5-3-2で構えだします。これにより谷口、車屋紳太郎へのプレッシャーが強くなりました。

こうなると逆に磐田の2列目が3枚と前半よりは手薄になるのですが、そこを突いて押し込むことはできませんでした。

55分、中盤で遠野が引っ掛けたことでチャンスが生まれます。大島のパスを受けて運んだチャナティップのシュートは惜しくもポストを叩き、追加点は奪えません。

60分過ぎからベンチが動き、遠野、脇坂、チャナティップがピッチを去りました。残り30分を切ってフレッシュな選手によって活性化を図りたかったはずですが、中盤の強度は落ちてしまいます。ただし点差はわずかに1しかありません。

最後にジョアン・シミッチとレアンドロ・ダミアンが投入されますが、タッチラインにボールを出してプレーを切るタイミングが遅れてしまいます。

些細なズレが見られた数分後、磐田のコーナーキックになります。遠藤保仁の蹴った絶妙なボールに伊藤槙人が見事に合わせて同点に追い付かれました。シュートはチョン・ソンリョンの伸ばした腕を越えてゴールネットに吸い込まれます。

残り時間が5分となり、逆転の芽が出たことで磐田が攻めに出てきます。川崎はセンターバックコンビを中心にしぶとく守りました。

相手が出てきたため、引っ繰り返せればチャンスが生まれやすい展開に変わるも、決定機は磐田に訪れます。ジャーメイン良のヘッドはポストに救われました。

さらに大井健太郎がベンチから前線に送り込まれるも、川崎は仕事をさせずにタイムアップを迎えました。

ミッドウィークの天皇杯敗退の悪い空気を払拭したいゲームでしたが、勝ち点1を獲得するにとどまりました。