ワールドカップ予選の重圧から解放され、パラグアイに快勝した日本。ようやく優勝経験国であり真の強豪であるブラジルとの対戦を迎えました。

ブラジル戦というと親善試合であっても勝ったことがなく、毎回いいようにやられていた日本ですが、新しい国立競技場での初戦はいつになく全員守備で耐えていました。

例えば、ビニシウス・ジュニオールと対峙した長友佑都は、本職の山根視来を差し置いての右サイドバック起用に応える働きを見せました。

ただ、主に伊東純也にボールを預けて攻め、コーナーキックを獲得するまではできるものの、セットプレーでの得点の可能性は低く、マルキーニョス、エデル・ミリトンがセンターで構えるボックスの中には簡単に入らせてもらえません。

実際、シュートストップに優れたアリソンが慌てたのは、前田大然の猛烈なプレスを受けた時だけでした。日本は最後までブラジルゴールを脅かすことができずに終わります。

一方のブラジルは25分頃からギアを上げ、ネイマールの強烈なミドルシュートが権田修一を襲ったのをきっかけに怒涛の攻撃を仕掛けました。

そこからハーフタイムまでは日本陣内でプレーが続き、実質4-2-4のアグレッシブなブラジルにほぼ一方的に攻められました。ネイマールに対してはファウルでしか止められないのです。

しかし、森保一監督は劣勢の中でも強気の姿勢を貫こうとします。ハーフタイム明けには攻守に気の利いたプレーのできる原口元気を下げて、鎌田大地を投入します。

以降も前田、三笘薫、堂安律、さらに柴崎岳と山根をピッチに送り出しました。

その中で三笘は持ち味を出すべく果敢にドリブルで仕掛けていきます。それでもチアゴ・シウバが入ったことで右サイドバックにポジションを移したミリトンに完璧に封じられました。

結局、ややペースの落ちかけていたブラジルにPKを献上。ネイマールのスローな動作からのキックに沈みました。日本にとっての歴史的初勝利はまたもお預けとなります。

ワールドカップでベスト8に進みたいのであれば、強豪相手の勝利が必須です。とりわけ今年の大会はドイツ、スペインと同居しているのですからなおさらです。

現実はと言えば、日本のシュートはわずかに4本。最多が遠藤航の2本という結果ですから、悲願達成の可能性を感じられる内容ではありませんでした。

後半のアディショナルタイムの使い方にしても、最低でも1点が欲しいはずなのに後方でボールを動かすばかりで攻めの姿勢を感じられません。結果、時間を浪費してタイムアップを迎えてしまいます。

どんな相手でも守ろうと思えば守れる、ただし得点は取れないというのでは以前からの日本と変わりません。一皮むけるにはまだまだ時間がかかりそうです。