最初に致命的なミスをしたのは蔚山の方でした。立ち上がりに自陣深い位置でセンターバックのキム・ヨングォンがパスミスを犯し、ボールはレアンドロ・ダミアンのもとへ。背番号9は逃さずシュートを放つも、ピッチコンディションが悪かったためにボールはクロスバーを越えていきます。

川崎の試合の入りはよく、快勝した前節からの流れを継続して蔚山を圧倒していた時間帯でした。それだけにこの一撃が決まっていれば、流れを大きく引き寄せられたはずです。

しかし、先制したのは蔚山でした。14分に中央を破ってバレリ・カザイシュビリとレオナルドの力で最初の決定機を生かしたのです。谷口彰悟、チョン・ソンリョンをはじめ守備陣が懸命に阻止に出ましたが及びません。

その後、川崎は二度のミスからカウンターを食らって20分と47分に失点します。佐々木旭のバックパスと橘田健人のパスを奪われました。難しいゲームが続いており、休みなく出場せざるを得なかったことが少なからず影響したのかもしれません。

得点を重ねるごとに蔚山はブロックを敷き、カウンターをちらつかせながら向かってきました。川崎はその攻略に手を焼きます。ボールが思ったように転がらないことも不利に働きました。

苦しい状況下で40分に谷口の出した浮き球をマルシーニョが折り返し、レアンドロ・ダミアンがジャンプして合わせたゴールは見事でした。チームにエネルギーを与える追撃の一発でした。それだけにミスが悔やまれます。

2点のビハインドを解消すべく鬼木達監督は70分から知念慶、レアンドロ・ダミアン、小林悠を同時期用しました。ゴール前にストライカータイプの選手を増やし、得点の可能性を少しでも上げるベンチワークでした。

そうして奪ったのが、後半アディショナルタイムのレアンドロ・ダミアンによる得点です。知念が左サイドから左足でクロスを入れ、谷口が競り勝って落とすと最後はエースがボレーで決めました。

ただ、90分を通してチョ・ヒョヌの再三の好セーブがあり、それ以上のゴールは生まれませんでした。川崎は重要な一戦を引き分けにもできずに落としてしまい、グループステージ突破は厳しくなりました。