7分、脇坂泰斗のコーナーキックに知念慶が頭で合わせて先制。12分には車屋紳太郎のロングパスに追い付いた宮城天の折り返しを知念がダイレクトで合わせて加点。早い段階でなおかつ美しい形で2点を決めた後も川崎は順調にゴールを重ねていきました。

ただ、家長昭博、レアンドロ・ダミアン、マルシーニョが出場しなかった90分で、先発はフィールドプレーヤー全員を入れ替えた中、結果を残していくのは、いずれも既にチームでその力を示している選手達でした。

守備を固めるものの、そうした場合に重要となるカウンターの迫力を欠いている若手中心の広州相手で、川崎は多くの選手にプレータイムが与えられました。それでも既存の選手を脅かし、今後待ち受ける重要な試合に名を連ねるほどのインパクトを残せた選手は決して多くありませんでした。

69分に細かいステップのドリブルからゴールを奪ったチャナティップ・ソングラシンは、北海道コンサドーレ札幌で実力を証明済みですが、川崎加入後は先発出場からシーズンをスタートしたものの、チームにフィットするのにやや苦しんでいる様子でした。

しかし、自陣でのドリブルではなく、相手に脅威を与えるエリアでの突破からの移籍後初ゴールで吹っ切れたように見えました。得点後はインサイドハーフとしてゴール前に出ていくシーンが増え、宮城が下がって橘田健人が入った後は左ウイングでのプレー機会を与えられました。

また、ルーキーの五十嵐太陽は後半頭から右ウイングを務め、柔らかいボールコントロールとゴールに向かう積極的な姿勢が光りました。アシスト、ゴールといった数字に残る結果は出せなかったものの、小林悠や知念とは違うタイプとしてこれからに期待を持たせてくれました。

最終的に27本のシュートで8点を奪い、相手のシュートをわずか1本に抑えて完封勝利を収めました。圧倒と言えるほどの内容ではありませんが、序盤はロングパス主体で次第にパスのレンジを短くして崩しにかかった中で確実に大量点で勝てたことは大きいでしょう。