終わってみれば0-2の完封勝利でしたが、またしても苦しい戦いを強いられました。加えてわずかな差ながら珍しく川崎の方が相手より走らされた90分でした。

とりわけ前半は広島の攻撃にさらされる時間が長くなりました。藤井智也、満田誠の両ウイングバックに幅を取られ、中央には人数をかけて入り込まれ、時には最終ラインの野上結貴、佐々木翔も顔を出す厚みのある攻めに手を焼きます。

橘田健人がボールを奪うよりも追いかけるシーンが多く、佐々木旭は背後を突かれることがしばしばありました。15分には藤井のクロスをきっかけに満田がフィニッシュ。チョン・ソンリョンと谷口彰悟で防ぎ切れなければ先制を許していました。

川崎は決定機をほとんどつくれず、小塚和季のサイドチェンジを起点として山根視来からレアンドロ・ダミアンへつながった場面はシュートがミートしきれませんでした。

幸い劣勢だった前半をスコアレスで終えたため、後半は修正が施されて盛り返します。前線からのプレスの強度を上げ、怯まず攻める姿勢を見せるようになりました。

流れを引き寄せるべく鬼木達監督は67分に3人同時交代を行います。チャナティップ・ソングラシンが出場停止のためスタメン起用されて、アグレッシブさだけでなく展開力を披露したもののファウルが目立ち始めた小塚に代えて大島僚太を、さらにレアンドロ・ダミアンとマルシーニョを下げて知念慶と宮城天を送り込みました。

ここで違いを見せたのが大島でした。優れた視野を生かして落ち着いて家長昭博にパスを繰り出し、そこからチームが粘ってコーナーキック獲得につなげると、脇坂泰斗に代わってキッカーを務め、野上のオウンゴールを誘発します。

73分に先制できたことで、一旦は落ちたプレー強度が再び戻ります。宮城、小林には決定機がありました。逃げ切りを図りたいところで、88分に山根が追加点を奪って勝利を決定付けます。山根は中央で一度知念にパスを出し、知念のシュートのこぼれ球を狙って押し込みました。

リーグ戦未勝利の広島に辛くも勝利を収め、7試合を終えて5勝1分1敗としました。インターナショナルマッチウィークによる中断が明けると、AFCチャンピオンズリーグもスタートする過密スケジュール下の戦いが待っています。