当たりの激しさと縦に速い攻撃という、長谷川健太監督のチームらしいアグレッシブな戦い方に苦しみ、立ち上がりの川崎にはパスの乱れが頻繁に起こりました。

リズムをつかめずにいたこともあり、チャナティップ・ソングラシンが早々にファウルを犯して警告を受けてしまい、次節出場停止となりました。川崎としては珍しい出来事です。

それでも次第に相手のやり方に慣れ、前向きに攻撃できるようになりました。25分にはチャナティップのスルーパスが流れ、前方を走るマルシーニョにわたると、戦列に復帰したウインガーが冷静にシュートを決めます。

先制したことで川崎サイドに余裕が生まれて、落ち着いてボールを動かしだします。いい流れを継続させるべく、マルシーニョを生かした攻撃が軸になりました。

後半になると名古屋は相馬勇紀とマテウス・カストロの左右を入れ替えてきますが、川崎が混乱する事態にはなりません。むしろ時間の経過とともにどんどん川崎ペースになっていきます。左センターバックの谷口彰悟が主に左足を使いながら繰り出すパスも効果的でした。

後半半ばには序盤から飛ばし過ぎたのか、名古屋が引き気味になって中盤にスペースができ始め、川崎としてはパスを回しやすくなり、脇坂泰斗がフリーでボールを受けられる場面が増えました。

ただ、ゴール近くまで攻めることはできるものの、エリア内に人数をかけた名古屋を崩し切れません。家長昭博のシュートもポストを叩きます。追加点を奪えそうな予感がありながらスコアは1-0のまま推移しました。

最少失点にとどめている名古屋は終盤、希望をもって攻めてきました。川崎はゴール前でのセカンドボールを生かされて失点を重ねたガンバ大阪戦の反省を踏まえて、守備陣がはっきりしたプレーや大きなクリアで流れを切っていきます。

また橘田健人が運動量を落とさずにピッチを縦横無尽に走り、自陣ボックス内では途中出場の金崎夢生からボールを奪ってチームを救いました。

最後は名古屋陣内で時計を進めて逃げ切ります。残念ながら2点目こそ奪えなかったものの、攻守に安定感のある戦いぶりを披露した90分でした。