立ち上がりから10分間は、川崎の破壊力を見せつける形となりました。その間奪った2得点とも左右に揺さぶってのピッチを広く使ったゴールでした。旗手怜央が落ち着いて頭で決めた2点目は、家長昭博が得意とする相手DFの裏を狙ったファーサイドへのクロスから生まれています。

電光石火の攻勢でしたが、長続きはしません。17分にはミドルゾーンでの連係ミスを突かれ、宇佐美貴史の個人の力にねじ伏せられて1点差に詰め寄られました。次第にガンバのプレーに激しさが生まれていきます。

ボールは保持できているものの主導権を十分に握れず、ガンバを突き放す1点が取れないまま時間が経過しました。ただ、相手に中盤を飛ばされた中でも守備は安定しており、前線で追い回す役割を果たしているマルシーニョやレアンドロ・ダミアンも状況次第で自陣深くに戻ってチームを助ける場面があり、同点弾は許しません。

すると85分、先制点と同様に山根視来のクロスにレアンドロ・ダミアンが合わせて、待ち望んでいた試合を決定づけるゴールが生まれました。これでレアンドロ・ダミアンはシーズン22得点を記録します。

先日、川崎との契約を更新した背番号9はチームのためにプレーを続け、常に強引にでもシュートを打つというより、確実なゴールのためにボックスの中でパスを選択することも珍しくありません。この日もそうしたプレーが見られる中で2得点を挙げました。

チームメイトは得点王を取らせたいという狙いがあってか、特に終盤はレアンドロ・ダミアンにラストパスを供給しようとする強い意思が感じられました。チーム内の優しく良好な関係がそこにはありました。

アディショナルタイムには遠野大弥のコーナーキックを車屋紳太郎が合わせて、今シーズン初ゴール。直後には温かい祝福の輪ができました。

結果、ホーム最終戦を4-1の完勝で締めくくりました。最終節はリーグ王者のプライドを胸に2位の横浜F・マリノスとの決戦です。ゴール数で並んだレアンドロ・ダミアンと前田大然の得点王争いにもその場で決着がつけられます。