爽快に勝って終わる理想的な結末ではありませんでした。それでもホームで2年連続のリーグ優勝を飾ることができました。

この日はミドルゾーンやサイドの狭い局面で相手を翻弄する場面はありましたが、それを継続して相手ゴール前まで押し込むまでには至りません。両者の力関係は五分五分、ないしは最終ラインの安定していた浦和がやや優勢に見えました。

苦しい戦いで奮闘したのはまたしても守備陣でした。浦和の最初の決定機で酒井宏樹に左サイドを攻略され、江坂任、関根貴大に立て続けにシュートを打たれるも、山根視来、谷口彰悟が防ぎます。谷口はゴールライン手前でのクリアでした。

先制点も脇坂泰斗のコーナーキックが山中亮輔に跳ね返され、セカンドボールを拾ってクロスを入れたのが山根。空中でレアンドロ・ダミアンと江坂が競ってこぼれたボールを押し込んだのはジェジエウでした。

その後、ハーフタイムを迎えるまでの時間だけは川崎が余裕をもって試合を進めることができていました。じっくりボールを動かしながら、相手の隙をうかがいます。ただ、追加点は奪えません。

後半は決定機をつくれず、1点を守ることがメインになり、清水エスパルス戦、天皇杯の鹿島アントラーズ戦と不動のスタメンを代えたのは75分になってからでした。さらに86分に山村和也を入れて4-2-3-1にシステムを変えて逃げ切りを図ります。

それでも完封できず、旗手怜央の背後を突いてボックス内に走ってきた酒井に同点弾を許してしまいます。起点となったのが川崎の自陣でのスローインだっただけに、慎重にかつ確実に凌ぎたい場面でした。

勝ちにこだわりたい川崎は、おそらく終盤の時間稼ぎないしは不測の事態に備えて残していた最後の交代枠で知念慶を投入。小林悠との2トップにして勝ち越しを狙います。

アディショナルタイムの大島僚太のミドルシュートは流れの中での川崎の最大の決定機でした。しかし西川周作に阻まれます。

結果、引き分けでタイムアップを迎え、同時刻開始のゲームで横浜F・マリノスがガンバ大阪に敗れたため、優勝が確定しました。

シーズンは残り4試合。昨シーズンは同じく4試合を残して優勝後、苦戦を強いられたことを考えると同様の事態に陥る可能性も予想されますが、横浜FMとのアウェイでの直接対決も最後に控えているだけに、その後の天皇杯に向かうためにも意識高く戦ってほしいところです。