徐々に戦列を離れていた選手が戻っている中、今節は車屋紳太郎がスタメンで復帰。そのため、谷口彰悟をセンターバックではなく中盤で起用する形でスタートしました。

前線は知念慶、小林悠が2トップ気味に並ぶことが多く、全体の距離感も通常とは異なり、たびたびパスを相手に引っ掛けられていました。先制されたシーンも自陣でのボールロストをきっかけに、大橋祐紀にニアゾーンを取られて最後は田中聡に決められます。

前半の川崎にチャンスがなかったわけではなく、小林が切り返しをして放ったシュートは谷晃生に阻まれ、湘南サイドのミスに乗じたショートカウンターでは宮城天のシュートが枠を大きく外れてしまいました。

リーグ戦では約4ヵ月ぶりのホームゲームでしたが、待ちわびていたファン・サポーターの期待に応えているとは言い難く、リズムが悪いままハーフタイムを迎えます。

流れを変えるべく鬼木達監督は後半頭に一気に選手を3人交代します。サイドハーフ起用の遠野大弥、宮城、そして谷口を下げて、登里享平、マルシーニョ、橘田健人を投入。左サイドバックだった旗手怜央をインサイドハーフ、小林を右ウイングに置いて、システムを明確に4-3-3に変えました。

このところは違う形も使っていますが、ずっと親しんできた形に戻したことでパスがつながるようになります。車屋から縦に差し込むボールも増えていきました。

さらに65分に家長昭博を入れてチームに安定感をもたらしつつ活性化させると、直後に山根視来のクロスから旗手が同点弾を奪いました。

後半の飲水タイム明けは湘南が再び運動量を上げてプレッシャーをかけてきましたが、それにも怯まず戦い続けました。ただ、次の1点が取れないまま時間が経過していきます。残り時間が少なくなるとジェジエウを最前線に上げ、ペナルティエリア内の人数を増やしてゴールに迫りました。

がむしゃらな姿勢が実ったのは90+4分でした。家長が畑大雅を抑えながら完璧なクロスを放り込むと、それを足をつらせた知念が頭で押し込んだのです。

ミッドウィークの鹿島アントラーズ戦に続くドラマチックな逆転劇でした。この勝利によって残り8試合で2位の横浜F・マリノスとの勝ち点差が9に開きました。しばらく横浜FMの勢いに飲み込まれそうな苦しい状況だっただけに連覇への道が大きく開かれた格好です。