チームの総力で勝ち切る、勝負強い川崎が戻ってきました。難敵・鹿島を相手に先制を許しながら、残り10分を切ったところから試合を引っ繰り返して勝ち点3を獲得したのです。

中盤に推進力のあるディエゴ・ピトゥカを擁する鹿島に対し、川崎はジョアン・シミッチと橘田健人を横に並べ、旗手怜央をトップ下に配した4-2-3-1でスタート。立ち上がりこそ鹿島に圧倒されますが、次第にボールを握れるようになります。

ただ、後方に人数を割いていることもあり、前線の枚数が足らずにシュートまで至らない時間が続きました。逆に鹿島の安西幸輝には鋭いシュートを打たれます。ここはチョン・ソンリョンが適切に弾いてこぼれ球に詰められるのを回避しました。

ハーフタイムが明けると旗手と家長昭博のポジションを入れ替えますが、試合は鹿島に再び圧倒され、再三ペナルティボックスへの進入を許してしまいます。61分、右サイドで旗手が安西と対峙するもクロスを上げられ、登里享平の一歩前に出たファン・アラーノのヘッドで失点を喫しました。

67分、鬼木達監督は3枚代えを決行。前半に足を痛めていた登里、そしてシミッチとマルシーニョを下げ、小林悠、脇坂泰斗、宮城天を送り込みます。小林を右ウイングに置いて旗手が左サイドバックにポジションを移し、脇坂は通常より低め、橘田と並ぶような位置をとりますが、どちらかと言えば攻撃に軸足を置いています。

その後、知念慶をレアンドロ・ダミアンに代えて入れて2トップとし、鹿島ゴール付近でフリーキックを蹴る直前には山村和也を投入します。

すると脇坂の入れた完璧なボールに山村が頭で合わせて同点に追い付きました。交代策がはまった83分のできごとでした。これで試合の流れは川崎の方に大きく傾きます。

アウェイチームに引き分けでよしとする考えはなく、ひたすらに決勝点を狙います。小林がシュートを放ち、沖悠哉が防いだこぼれに知念が飛び込むなどそれまでなかったゴールに向かう迫力を見せ始めました。

それでも得点を奪えずにいた90+4分、宮城の無回転シュートが鹿島のゴールネットを強く揺さぶりました。ここまでことごとくドリブルを止められていた若武者がシュートを打つために右サイド寄りに流れて、自身のJ1初ゴールとなる貴重な1点を叩き出しました。

結果、消化試合数が同じ2位の横浜F・マリノスとの勝ち点差を7に広げることに成功。シーズン終盤に向けて弾みになる勝利を挙げました。