レギュラークラスの離脱者が多く、やりくりの難しい川崎は小林悠を左ウイングで起用し、現段階でのベストな11人をピッチに送り込みました。出し惜しみなく戦う選択です。

しかし、小林が開始1分でシュートを放ったものの、前半のペースは完全に蔚山にありました。23分にはホン・チョルのクロスにオ・セフンが頭で合わせる場面もあり、必然的に川崎の選手は自陣に下がることとなります。

劣勢の中、少ないタッチで中盤を突破しようと試み、時間の経過とともに少しずつ打開できるようになりました。さらにハーフタイムに修正が施され、エンドが変わるとプレー強度を上げて戦い始めます。川崎に復調の兆しが見られました。

それでもペナルティボックスまでは進入できるものの、最後の最後、フィニッシュまでつなげないシーンが多く、チョ・ヒョヌを脅かすには至りません。

結局、川崎にとっての決定機は延長前半の終了間際、家長昭博のフリーキックをジョアン・シミッチが折り返し、知念慶が合わせた一度しかありませんでした。

また蔚山がユン・ビッカラムやイ・チョンヨンを投入して流れを変えに出るのに対し、川崎は交代カードを切れずにいました。ようやく最初のカードとして知念を入れたのは86分になってからです。

延長までもつれたため、さすがにフレッシュな選手を送り込む必要に駆られ、110分に鬼木達監督はレアンドロ・ダミアンと小林を下げて遠野大弥と長谷川竜也を入れる決断をしました。

直後に山村和也が座り込み、急遽、塚川孝輝をセンターバックで起用することとなりますが、コーナーキックのピンチもポストに救われ、120分まで失点を許しません。一方の川崎も得点の可能性を高めることができずに終わり、PK戦で決着をつけることとなりました。

準々決勝進出をかけた最後の争いはペナルティスポットの足場の悪さに苦しみ、また川崎最後のキッカーを務めた家長がチョ・ヒョヌに止められてしまい、アジア制覇の夢はラウンド16で潰えました。

現有戦力で結果を出し続けてはいましたし、ヴィッセル神戸戦の延期で試合間隔も蔚山より空いていましたが、川崎としてはやはり夏場の補強が十分に行われなかったことが結果として響いたと言えるかもしれません。