3日後に札幌での試合が控える中、鬼木達監督は大胆なターンオーバーは行わず、ジェジエウ、脇坂泰斗、長谷川竜也をベンチスタートとするにとどめました。チーム状況を考えると、それだけ勝利へのこだわりを見せたのだと思われます。

試合は福岡の当たりの強さに手を焼き、立ち上がりはミドルゾーンでのイージーミスも見られました。それでもレアンドロ・ダミアンや宮城天がゴールに迫るプレーをするごとに上向きの兆しがあり、相手を外したボール回しができるようになっていきました。

いい流れができてきたところで、旗手怜央がおそらく体勢を崩しながらシュートを放った際に負傷。39分で退くこととなりました。交代で入ったのは、同ポジションの脇坂ではなく小林悠。家長昭博をインサイドハーフに下げ、前線に厚みをつくります。1点入ればムードは変わる。そういう雰囲気は継続されていました。

ただ、エンドが変わると福岡がゴールに近付くシーンが増えます。杉本太郎がチョン・ソンリョンの正面を突くシュートを放てば、城後寿は激しいプレスで川崎の守護神に襲い掛かりました。

変化を感じた長谷部茂利監督は3枚代えを決行。残り30分を切ったところで前線の強度を高めます。

2分後、鬼木監督はジョアン・シミッチと宮城に代えてジェジエウと長谷川を投入。シミッチを休ませる意図もあったのか、ここで山村和也をアンカーの位置に上げました。

両指揮官が動き、試合も動きます。セカンドボールを拾ったジョルディ・クルークスが左足を振り、鮮やかな一撃を決めたのです。川崎は2試合続けて先制点を奪われました。

追い込まれたアウェイチームは、最後の交代機会で登里享平、レアンドロ・ダミアンを下げて遠野大弥、知念慶を投入。最終ラインの並びを再び変えてフレッシュな選手による打開を図ります。

奈良竜樹を入れて守備固めに入った福岡に対し、最終的には山村を前に上げるなどカウンターを食らってもやむなしといった攻撃偏重の姿勢を見せますが、決定機さえつくれません。

アディショナルタイムのコーナーキックではチョン・ソンリョンも上がったものの実らず、無敗記録はストップしました。勝った瞬間、福岡はサポーターも含めて優勝したかのように喜びを爆発させます。

記録はいつか途切れるもの。川崎は無敗継続のプレッシャーからは解放されたので、新たな気持ちで一戦一戦臨んでいくほかありません。