前半だけを見れば完全な負け試合でした。それでも後半に修正を施し、意地を見せた川崎が辛うじて勝ち点1を獲得しました。

試合間隔のあいていた広島は、ジェジエウ、車屋紳太郎にも積極的にプレスをかけてきました。その鋭さに苦しみ、インサイドハーフに効果的なボールをつけることができず、15分過ぎまでは脇坂泰斗、旗手怜央が試合からほとんど消えていました。

その後もボールを保持して中盤までつなぐことは可能になっても、広島の5-4-1の4のラインをうまく突破するパスが出せず、ミドルゾーンで広島に引っ繰り返されます。

そういった攻防が続く中、27分に失点を喫します。藤井智也のスローインが起点でした。コーナーフラッグ付近でボールを受けた柴崎晃誠はマイナスのパスを選択。川崎の選手はボールに意識を向け過ぎていたため、その先にはフリーの柏好文がいました。柏は丁寧に合わせてゴールネットを揺さぶります。

意気上がる広島の勢いに川崎は飲まれます。広島のボール保持率は上がり、川崎ゴール付近に何度も迫られました。2失点目を許さなかったのが救いでした。

鬼木達監督はハーフタイム明けに宮城天を投入。加えて中盤で苦労していた旗手を右ウイングに、そして安定感のある家長昭博をインサイドハーフへと入れ替えます。

この変更が功を奏し、宮城を生かしながら少しずつ川崎がリズムを取り戻しました。ただ、フィニッシュの精度を欠いたため、得点には至りません。

そこで次の一手が打たれます。ベンチは67分、ジョアン・シミッチに代えて橘田健人、脇坂に代えて遠野大弥を送り込みました。全体のバランスを重視するより、攻撃に注力する交代でした。

6分後、橘田のロングパスを旗手が収め、ボックス内で粘りラストパス。最後はレアンドロ・ダミアンが確実にゴールにねじ込みました。これで同点です。

勝ち点3を得るためにさらに攻める川崎に対し、交代機会をすべて使い切った広島は青山敏弘が負傷した際にフレッシュな選手を入れられない事態に陥ります。

このわずかな優位を生かすことはできないままタイムアップ。勝ち点を得られずに終わることは避けられ、無敗は続きましたが、首位のポジションが危うくなる結果に選手、監督の表情は険しく冴えません。ホームに戻って戦えない厳しい日程がもう少し続くだけにうまく切り替えていかなければなりません。