川崎がウズベキスタンでAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を戦っていた間、横浜F・マリノスが勝利を重ね続けたため、リーグ戦は独走状態とは言えなくなっており、帰国後間もないとはいえこの試合は是が非でも勝ち点3が必要でした。

清水は川崎のビルドアップ時にハイプレスをかけてはこないものの、前線の鈴木唯人とチアゴ・サンタナがジョアン・シミッチを消す動きをしており、立ち上がりは中盤を効果的に使うことができませんでした。

それでも17分に登里享平のスルーパスを起点にレアンドロ・ダミアンが井林章を引き剥がし、フリーの状態でシュートではなくパスを選び、ACLで存在感を増した脇坂泰斗が押し込んで先制すると一気にリズムを取り戻します。

押し気味にゲームを進めるも前半のうちに追加点は奪えず、次の1点が入ったのは50分でした。ゴール前の混戦からこぼれたボールを大島僚太が受け取り、落ち着いて決めたのです。ウズベキスタンで徐々に実戦に慣れて、この日はプレータイムが45分を超えた背番号10の見事な一撃でした。大島はそれから66分までピッチに立ちます。

71分に決定機を連続してつくられ、その時はチョン・ソンリョンがファインセーブで凌いだものの、以降は川崎の中盤の強度が落ちて清水の攻撃を受ける形になります。それでも最終ラインプラスシミッチを中心に守備を固め、失点は許しません。

苦しい状況でチームを助けたのは家長昭博でした。奥井諒とのマッチアップ後に座り込んだ際にはヒヤリとしましたがプレーに支障はなく、フィジカルの強さを生かしたキープ力で試合を落ち着かせ、川崎に流れを呼び戻します。

一方で鬼木達監督は足をつらせた脇坂に代えて小塚和季ではなく山村和也を投入。シミッチと横並びのポジションに置いてシステムを4-2-3-1に変更。このまま逃げ切りを図ります。

残り時間が少なくなってからは、チーム全体としてボールキープをメインにしつつ、隙あらば3点目を取りに行く姿勢でプレー。最後まで我慢強く戦って完封勝ちを収めました。

移動などもあってコンディション面で難しさはあったはずですが、6日前の北京FC戦とは一変してほぼベストメンバーで臨み、価値ある1勝を挙げるとともに、長谷川竜也不在の左ウイングで先発した宮城天も大島と一緒に退くまでまずまずの働きを見せました。これでリーグ戦の無敗記録は22に伸びました。