対戦相手、コンディション、判定基準など、様々なものが日常とは異なるアジアの舞台。国内では昨シーズンから強さを誇る川崎ですが、2シーズンぶりに戦うACLでは無理をしない戦いぶりで勝利を手繰り寄せました。

開始8分にファン・スンミンが得点を決め、リードしたことで強固なブロックを敷く大邱。通常ならば引かれれば遠慮なくボールを動かして崩しにかかる川崎も、アタッキングサードでの大胆な攻撃は自重します。ジェジエウ、谷口彰悟がミドルゾーンの高い位置まで持ち上がれる場面は多いものの、相手の陣形をスムーズに壊すことはできません。

さらにジェジエウのファウルでPKを献上するピンチもあり、エジガルと対峙したチョン・ソンリョンのファインセーブがなければ傷口は広がる一方でした。

苦境を救ったのはチームのトップスコアラー、レアンドロ・ダミアンでした。40分、パク・ビョンヒョンを背負いながらジェジエウの浮き球のパスを受ける際にボールを浮かせてオーバーヘッドで同点にします。

後半立ち上がりに勝ち越された直後にも、三笘薫が深くまで進入してアウトサイドで出したパスのこぼれ球を押し込み再び追い付いてみせました。

その4分後には前半から手を変え品を変え工夫を凝らしていたコーナーキックから得点を奪います。脇坂泰斗の低いキックが流れたところをジョアン・シミッチが決めました。

川崎優勢となったことで大邱は攻めに出ていかなければならなくなり、前半のようなブロックを敷いた戦い方をしなくなります。こうなれば前方のスペースを活用したカウンターを繰り出して得点を重ねたいところですが、ほとんど発動させることができません。

それでも好材料はあり、リードしてから残り30分を切ったところで大島僚太がピッチに送り込まれて復帰を果たし、終盤にはこれまた離脱組だった山村和也がディフェンス強化のために投入されました。そして逃げ切りに成功します。

鬼木達監督は交代枠を3しか使っておらず、川崎のリズムで進めたゲームではないものの、とにもかくにも難しい初戦を勝ち切ったことをポジティブにとらえたいところです。