64分に投入されたフェルナンジーニョにコンディションの問題は感じられませんでした。プレミアリーグ最終節のエバートン戦では右サイドに流れ、セルヒオ・アグエロに完璧なクロスを入れた背番号25は、しかしスタメンではありませんでした。

フェルナンジーニョが本来いるはずのポジションを任されたのはイルカイ・ギュンドアンでした。パリ・サンジェルマンとの激闘を終えた直後のリーグでのチェルシー戦、決勝の前哨戦となったゲームのようにインサイドハーフにFWの選手を置くほど大胆ではないものの、ペップ・グアルディオラ監督はスタートから勝負に出ました。

後方の配置は実質3枚で、オレクサンドル・ジンチェンコをギュンドアンの近くに立たせます。こうした変化は観客のボルテージも上がっていた開始直後こそ効果を発揮し、シティが普段からしばしば見せるエデルソンからのロングキックで、この日スタメン起用となったラヒーム・スターリングがチャンスをつくりだしもしました。

ただ、徐々にチェルシーが冷静さを取り戻し、カウンターを軸に攻撃を繰り出しました。42分のカイ・ハバーツの決勝点も後方からの一気の攻めが実った形です。

ハバーツがシュートを打つ直前にボックスのわずかに外に出たエデルソンの手にボールが当たったかに見えましたが、お咎めはありませんでした。チェルシーのゴールが認められたのです。

シティにとって不運だったのは、ケビン・デ・ブライネの負傷離脱です。アントニオ・リュディガーと衝突して顔を痛め、まだ30分残っていましたが無念の交代となりました。攻撃を司る背番号17に代わって入ったのは、ガブリエウ・ジェズスでした。

グアルディオラ監督は、3人目の交代カードとしてシティでのラストゲームとなるアグエロをチョイス。ジェズスと並べて得点力を求めました。

とにかく1点が必要だったシティ。しかし、チェルシーの守備は堅牢で、特にエンゴロ・カンテが中盤でにらみを利かせており、相手陣内深いところまで思うように入り込めません。それはチアゴ・シウバが悔しさを抱えながら前半のうちに負傷で交代した後も変わりませんでした。

結局、シティは90分を通じて7本のシュートしか打てず、ブロックされることなく枠内に飛んだのも1本のみ。オフェンシブに出て押し切る策ははまらず、悲願の優勝は成し遂げられませんでした。