予想通りスタメンを大幅に入れ替えてきた川崎。ただ、前半に限って言えばその内容は圧倒的でした。メンバーが変わったことによる不安やぎこちなさはまったくありません。

4点を奪ったのもさることながら、ボールを失ったときの即時奪回の速さは驚異的でした。ミドルゾーンで数々のボール奪取を成功させ、攻め続けたのです。単に層が厚いだけでなく、チーム全体の共通意識の高さがうかがえる45分でした。

得点シーンに関しては、左サイドから生まれた2点目が印象的でした。水曜日のセレッソ大阪戦で90分に同時投入された長谷川竜也、小林悠、遠野大弥の3人が絡んで、最後は遠野がJ1初ゴールを記録。起点になるクロスを入れた長谷川は負傷前の好調な状態を取り戻しつつあります。

しかし、さすがに大量リードしての後半は、メンバーの入れ替えもジョアン・シミッチを下げて塚川孝輝を入れただけだったこともあってか、前半ほどの強度が見られなくなります。

逆に緩みがちだったライン間の距離を狭め、復興応援試合と銘打ったゲームでもう一度攻撃に出ていく姿勢を前面に出してきた仙台に押し込まれ、58分に上原力也のゴールを許します。

失点後は多少持ち直したものの、得点を奪うには至らず、鬼木達監督はたまらず72分に家長昭博と三笘薫を投入します。強烈なプレスをかけてくれるハードワーカー、レアンドロ・ダミアンの投入は見送られましたが、勝利は確実な中でも明らかに5点目を求めた交代です。

家長は指揮官の意図を体現するがごとく前線での守備から積極的に行います。また家長が出てきたことで山根視来とのコンビでの崩しが期待できるようになりました。

結果、83分に右サイドに流れていた旗手怜央がゴールを奪ったため、試合を締めくくるべく谷口彰悟が送り込まれます。

谷口には山村和也、車屋紳太郎と3バックを形成するのではなく、アンカーのポジションを任せます。ただ、センターバックを務める普段とは見える景色が違ったため、一度、仙台の攻撃を許す危険なミスを犯してしまいました。

ともあれ3連勝を飾った川崎。3試合で10得点の荒稼ぎで勝ち点を積み上げます。今シーズンは等々力陸上競技場がオリンピック・パラリンピックでイギリス代表のキャンプ地になる関係で、夏場はアウェイ8連戦が予定されており、苦しい日程となっている以上、スタートダッシュは非常に重要になります。