シュートの意識が非常に高い大久保嘉人に手痛いゴールを二度も決められましたが、最終的には川崎が勝利を収めました。

前半は先制された直後に脇坂泰斗の角度をつけた鋭いパスで右サイドを崩して、山根視来のクロスにレアンドロ・ダミアンがダイレクトで合わせて追い付くことはできました。ただ、それ以降キム・ジンヒョンを脅かすほどの決定機はつくれませんでした。

それゆえハーフタイム明けに鬼木達監督はメンバーを代えずに微調整を施します。大久保と清武弘嗣に消されていたジョアン・シミッチの横に田中碧が時折下がってビルドアップの手助けをしたり、シミッチ自身は消されたままで終わらず、ペナルティボックス近辺まで顔を出したりするようになりました。

また、単純にサイドから放り込んでもビッグチャンスに結び付かないため、変化をつけながら攻撃を仕掛けます。それが後半開始早々の同点弾につながりました。

谷口彰悟の大きなサイドチェンジを起点に右サイドでボールを動かし、山根がボックス内でパスを受けてマイナスのクロスを入れることによって、やや下がって待っていたレアンドロ・ダミアンのゴールが生まれたのです。起点となったロングボールを使った攻撃は、今シーズンになって多く見られるようになりました。

開幕戦を含めてここまで右サイドからの得点が続いていましたが、決勝点は左からでした。三笘薫がリーグ戦今季初ゴールを記録します。それまで坂元達裕と松田陸に苦しめられていた背番号18は、この場面では巧みなボールタッチで相手を翻弄した後、レアンドロ・ダミアンとのワンツーで抜け出し、最後はキム・ジンヒョンが届かないコースに狙いすまして決めました。

リードしてからの試合運びが課題となりつつある現状ですが、数回カウンターを食らってピンチを招いたものの大事には至りません。大久保のコースを突いたシュートもチョン・ソンリョンが好セーブを見せて凌ぎます。

選手交代に関しては、シミッチと脇坂をそれぞれ塚川孝輝、橘田健人に代えた以外はスタメンをほぼ終盤まで引っ張る形で戦わせました。過密日程を考慮したターンオーバーも考えられる中、スタメンを固定していますが、その分、次のベガルタ仙台戦で大幅な入れ替えをするのかもしれません。

残り時間が少なくなってからは、相手陣内でボールを動かし続けて時計を進めた川崎。そのまま試合をクローズして連勝スタートを飾ることができました。