ディフェンディングチャンピオンは全員が労を惜しまぬハードワークを続けたことで美しいサッカーを披露することにつながり、鬼門のホーム開幕戦で白星を挙げました。

初戦としては試合の入りが非常によく、それだけにゴールが欲しい前半でした。川崎は左サイドの三笘薫に注目が集まりがちで、実際に三笘が左サイドバックの旗手怜央とも時折絡みつつチャンスをつくる場面もありましたが、得点はいずれもインサイドハーフが開いた右サイドから生まれました。

先制点は脇坂泰斗の浮き球に対して家長昭博と山根視来が重なりかけるも、家長が山根を見てスローダウン。走り続けた山根が意表をついてヒールで落とし、家長がダイレクトで合わせます。

43分の追加点は、田中碧がサイドに流れたレアンドロ・ダミアンとのワンツーを決めて鋭いクロス。家長が頭で押し込みました。それまでオビ・パウエル・オビンナに阻まれるものの枠内シュート自体は多く、いい流れの中で得点を重ねました。

ただ、一昨シーズンの王者がこのまま終わるはずはなく、アンジェ・ポステコグルー監督は左サイドで魅せるドリブルを仕掛けたルーキーの樺山諒乃介に代えて、プレス強度の高い前田大然を中央に配置。システムを4バックにフィックスして修正を図りました。

ビハインドを追い付こうとする強力な攻めに苦しんだ川崎ですが、ジェジエウ、谷口彰悟を中心に集中したディフェンスで失点を許しません。先週のガンバ大阪戦のような中途半端なプレーはほとんど見られませんでした。加えて前線の3枚も危険な時には自陣に下がって対応するなど、チームの守備意識の高さを感じさせました。

数回あったカウンターのチャンスを仕留めきれず、鬼木達監督が求める3点目を取ることはできませんでしたが、開幕戦としては上々の出来でした。64分からインサイドハーフに入ったルーキーの橘田健人もこのクラブで生き残ろうとして奮闘。リザーブメンバーを含む全員が同じ方向を向いて戦っていたのが印象的でした。