二度のビハインドを追い付いてみせました。後半アディショナルタイムには怒涛の攻撃で勝利をつかみにいきました。首位としての意地を感じさせるプレーもありましたが、優勝したチームが陥りがちな穴に川崎も落ちていました。

タイトル奪還を決めたガンバ大阪戦から、負傷と思しき車屋紳太郎と大島僚太を代えただけの11人を鬼木達監督は選択しました。順位は確定しても、貪欲に勝ち続ける姿勢がうかがえる人選でした。

序盤はヘナト・アウグストを中心とした清水の選手が川崎の中盤3枚にタイトについており、ボールは保持しているもののビルドアップで中盤につけることに苦労していました。

それでも田中碧、脇坂泰斗は中央にとどまるのではなく、適宜サイドに近い位置にポジションを移すことで相手を混乱させます。田中の同点弾は左サイドに大きく開いたところから、守田英正、レアンドロ・ダミアンと絡んで生まれました。

攻撃面の微調整はそれなりに効果を発揮しましたが、守備ではたびたび脆さを見せました。カルリーニョス・ジュニオの先制点は、ジェジエウのパスミスがきっかけでした。普段は頼れる背番号4はこの日、前につける中距離パスのほとんどがミスとなっており、後半は無難なパスを選択したものの、77分に山村和也と交代することとなります。

前半の清水には数々の決定機をつくられ、チョン・ソンリョンや谷口彰悟、ジェジエウが最後のところで堪えるシーンが目立ちます。それにも限界はあり、40分の相手フリーキックではカルリーニョス・ジュニオのハンドを主張すべく動きを止めたためにヘナト・アウグストに勝ち越しゴールを許しました。山根視来がクリアに走るも間に合いません。

悔しさを抱えていたであろう背番号13は、89分に試合を振り出しに戻す得点を奪います。味方が持ち場のサイドでボールを動かしている中、ボックスに入り込んで決めました。

同点に追い付いた要因としては、川崎を苦しめたヘナト・アウグストと竹内涼がともに83分にベンチに退いたことも挙げられます。中盤センターの強度に変化が生まれ、攻撃がしやすくなりました。

こうして勝ち点1は確保しましたが、川崎に限らず優勝した後の試合というのは、どこか気が緩んでしまうのか勝ち点を落としやすい傾向にあります。ここから悪い流れにはまり、天皇杯のパフォーマンスにも影響が出ないように気を引き締めなければなりません。