今月に入ってからの川崎は、破壊力を持っていてかつ勝負強く勝ち点3を積み重ね続けていたころとは違うチームになってしまったかのようです。攻撃時のボール回しと守備時の人数をかけたプレッシャーの鋭さ。そういったよさ、凄味が失われつつあります。

先制して流れをつかみたかったはずのこの試合も、とりわけ開始10分は大分に振り回されました。遠いところに立つ選手が見えている大分に対し、思うようにプレスがかからず、決定機をつくられます。

チョン・ソンリョンの好セーブもあり、多少の盛り返しはあったものの、飲水タイムをはさんで中盤の並びを調整しても大きな流れは変わりません。ついにはハイボールの対応を誤った谷口彰悟が野村直輝を倒して一発退場。PKを決められてリードを許します。

この日はジェジエウが出場停止で山村和也はベンチにもおらず、やむなく守田英正が谷口のポジションに入りました。

後半頭からは田中碧と三笘薫を同時投入。数的不利な中でも得点を奪いに行く姿勢を見せます。

ロッカールームで切り替えができたのか、相手選手が近くに立っている厳しいところにもパスをつける川崎らしいプレーが何度も見られました。ただ、いかんせん1人少ないために攻めようとする選手間の距離はいつもとは違う長さになり、その微妙な違いがリズムを狂わせ、相手に簡単に寄せられて奪われてしまいます。

最終的に鬼木達監督は山根視来を下げてレアンドロ・ダミアンを送り込み、旗手怜央ないしは田中碧が右サイドバックのポジションを埋める形にしますが、慣れないリスキーな戦い方は奏功しません。ペナルティエリアに踏み込んでのシュートが思うように打てないまま時間が経過します。

前半に二度ボールロストした大島僚太が、珍しくクロスボールを供給するシーンもありました。また、三笘とレアンドロ・ダミアンの連携でオウンゴールかという場面もありました。それでもゴールは奪えず、同点に追い付くことすらできません。

次につながる光が見えないまま、大分に完封負けを喫した川崎。この日の優勝決定はなりませんでした。