3日前の多摩川クラシコで燃え尽き、一息ついてしまったかのようなパフォーマンスでした。前線から出足のいい札幌に圧倒され、これまで唯一の負け試合だったアウェイの名古屋グランパス戦よりも悪い内容で完敗しました。

序盤にチャナティップ・ソングラシンを中心に決定機を3回つくられはしましたが、前の試合も三田啓貴の開始早々のシュートを防ぐ流れがあり、同じようにそこから川崎が盛り返すかに思われました。

しかし、前半はミドルゾーンから先に進むことが難しく、苦しい中で山根視来がドリブルで右サイドから中央にボールを運ぶなどアクセントをつける動きをしたものの、最終的にゴールに近づく決定機はつくれませんでした。

悪い流れを断ち切り、先手を取るべく鬼木達監督はハーフタイム明けに脇坂泰斗、旗手怜央を下げて、田中碧、三笘薫を送り込みます。下がった旗手はFC東京戦に出場しておらず、フレッシュな状態でありながら十分な働きができませんでした。

田中碧が入って中盤の守備面が向上したかに見えました。ただしそれは一時的なものでした。

61分、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は屈強なFWアンデルソン・ロペスとドウグラス・オリヴェイラを同時投入します。川崎に怯むことなく攻撃に出るというメッセージでした。

この采配が札幌にとっては見事に的中した形となり、川崎にとっては痛恨の展開になります。守田英正、田中碧が立て続けに中盤でボールを奪われ、ショートカウンターを食らい連続失点したのです。失ってはならないエリアでのボールロストによって数的不利になり、防ぎようのないゴールを奪われました。

鬼木監督はたまらず残りの交代枠を一気に使い切ります。休ませていた登里享平、中村憲剛、さらにレアンドロ・ダミアンに代えて宮代大聖をピッチに立たせました。

多少の焦りも感じられる中、札幌ゴールに襲い掛かる川崎。しかし、菅野孝憲が立ちはだかるゴールをこじ開けることはできません。1点も奪うことなく、時間は刻一刻と過ぎていきます。

5分与えられたアディショナルタイムも生かせず、札幌にリーグ戦では初めての黒星を喫しました。

1敗したことで、連勝が止まったことでタイトルレースにおける川崎優位の状況に大きな変化はありません。ただ、悪い流れを引きずらないよう、次の試合までの10日間で心技体を立て直す必要があります。