約2週間前と同じスタメンで臨んだ川崎は、その名古屋グランパス戦同様に圧倒的な力を見せつける90分とはなりませんでした。互いに決定機をつくる好ゲームになったのです。

東京は特に守田英正に狙いを定め、ビルドアップ時にはレアンドロと永井謙佑でパスコースを封じ、また川崎の攻撃時にも一旦落ち着かせるため守田に下げるボールを果敢に奪いに出ました。

他の局面でも相手の球際激しい守備に手を焼いた川崎ですが、狙われていた守田が流れを変えます。いつものように低いボールを中心にしていた中、やや東京のマークが甘くなったところで背番号6はゴール前に浮き球を供給します。

ボールは再三ハイボールを要求していたレアンドロ・ダミアンのいる方へと向かって飛び、渡辺剛が落下点に走ろうとするレアンドロ・ダミアンを倒してPKを獲得。家長昭博が冷静に決めて先制します。

先制後の約20分間は、川崎がゲームを支配します。攻撃から守備への切り替えは速く、3、4人で一気に襲い掛かってボールを回収してみせ、東京陣内で試合を進めました。ただ、追加点を奪うことなくハーフタイムを迎えます。

エンドが変わると東京は3バックにシステムを変更。重心が低くなりがちな形ですが、常に縦に強い攻撃を武器に持っている東京はより積極的に出てきました。結果、ウイングバックで幅を取り、サイドハーフから中にポジションを移したディエゴ・オリヴェイラによって同点に追い付いたのです。

川崎は逆襲に転じるものの、東京の好守に阻まれて勝ち越し点が奪えません。悪い流れを断ち切るために5人の交代枠を有効活用する手もありましたが、鬼木達監督は先発の11人に託します。

すると74分、川崎にとって劇的なゴールが生まれました。この日、40歳の誕生日を迎えた中村憲剛が決めたのです。

中村憲剛は一旦三笘薫にボールを預けた後、リターンをもらわない風な様子で立ちながら、三笘が中村拓海に勝負を挑んだところでゴール前に進出。レアンドロとアルトゥール・シルバを出し抜いた後は微妙にポジションを変えて、シュートを打てる態勢を整えてフィニッシュ。波多野豪は手ではなく、頭で弾き返そうとしましたが及びません。

欲しかった1点を取ったところで中村憲剛はお役御免となり、脇坂泰斗と交代。アディショナルタイムに入るまでそれ以外のメンバーが代わることなく戦いました。

6分の追加時間を乗り切り、タイムアップをキャプテンの谷口彰悟はガッツポーズを見せます。ルヴァンカップ決勝行きを阻まれたライバルに勝ち切った喜びを表しました。

次は中2日で北海道コンサドーレ札幌戦があります。今度の週末には試合がないとはいえ、名古屋戦と同じようにスタメンを引っ張って戦ったので、メンバーを入れ替えてのゲームとなりそうです。