前日、セレッソ大阪が鹿島アントラーズに1点差で逃げ切られたため、川崎は首位のポジションをより確実にする絶好のチャンスを得ました。

しかし、柏木陽介、関根貴大の両サイドハーフが攻守において絞ったポジションをとっていて、また立ち上がりにミドルゾーンでパスが数回引っかかったこともあり、10分前後からボールを握るようになれたものの、攻撃は浦和のブロックの外側で組み立てるシーンが多くなりました。時折インサイドハーフが前線に顔を出していましたが、中央を固められている中では崩し切ることができません。

37分、悪い流れを壊したのは大島僚太でした。

左サイドに出た大島が中央でフリーの脇坂泰斗にパスを送り、最初の決定機かつ先制点が生まれます。脇坂が運んだボールを受けた家長昭博は、浦和守備陣の裏をかいた浮き球のパスを供給。関根から離れて走り込んだ山根視来が豪快なボレーを突き刺しました。

起点となった背番号10が、45分に負傷交代するアクシデントに見舞われるも、ハーフタイム明けの50分に齋藤学のクロスに小林悠が頭で合わせてリードを広げます。

2点差となったことでようやく川崎は積極性を取り戻します。高い位置からのプレッシングも効果的になり、繰り出すパスは中央のレーンやハーフスペースに迷わず通し、通るようになりました。

最後は90+2分に家長が7月の鹿島戦で見せた、相手DFの頭上を越えてファーサイドの味方に通すパスを成功させ、宮代大聖がシュート。これは阻まれましたが、レアンドロ・ダミアンが詰めて3点目を奪いました。

大槻毅監督がクエンテン・マルティノス、興梠慎三、武藤雄樹といった攻撃的な選手を次々送り込む中、チョン・ソンリョンの好判断、ジェジエウの安定感、谷口彰悟の危機察知能力の高さもあり、この試合はクリーンシートを達成。危なげない試合運びで2位のセレッソとの勝ち点を8に広げました。