ミュンヘンでのラウンド・オブ・16の2ndレグ、チェルシー戦があった分、8月の試合数はパリより多く、準決勝から決勝までの日数も自分達の方が1日短い、という諸条件をものともしない戦いぶりで、ドイツ王者がリバプールに並ぶ通算6回目のヨーロッパ制覇を果たしました。

圧巻なのは日程的な不利にもかかわらず、もっとも長い距離を走り回ったトーマス・ミュラーを筆頭にハイプレスを駆使し続けた点です。準決勝はリヨンがブロックを形成して構えるスタイルだったため、あまり必要とされなかった守備方法でしたが、攻撃の意識の強いパリには効果的でした。

そのプレッシャーをかいくぐるべく、トーマス・トゥヘル監督率いるパリはワンタッチですばやくボールを動かしてミドルゾーンの突破を試み、アンヘル・ディ・マリア、ネイマール、キリアン・エムバペというチームが誇る3トップにフィニッシュを託しました。

ただ、浅いラインを敷くバイエルンは帰陣も非常に速く、簡単にはシュートを打たせません。さらに最後方にはマヌエル・ノイアーがおり、ネイマールの決定機を適切な態勢で防ぎました。

高い強度でプレーするバイエルンにあって、ヨシュア・キミッヒとチアゴ・アルカンタラはリズムを変える働きを担いました。常に落ち着き払ったたたずまいで、冷静にピッチ全体を見ています。

先制点はキミッヒの視野の広さが生きました。5月のドルトムント戦で見せたループシュートのごとく、柔らかな軌道を描いたボールはファーサイドのキングスレイ・コマンにピタリと合いました。

追い込まれたパリは、終盤になると頼みのネイマールがタッチライン際でボールコントロールを誤り、バイエルンにスローインを与えてしまうケースが数回あり、焦りの色があらわになります。

それでも最後までカウンターを見せたフランス王者でしたが、狙いが明確だったリヨンに比べるとこの日に限ってはバイエルンにダメージを与えるほどの切れ味はありませんでした。

パリの悲願のチャンピオンズリーグ初優勝はお預けとなり、歴史と伝統のあるバイエルンにビッグイヤーがもたらされました。