4失点を食らった前半は、シュートを打たれる前に勝負がつくシーンばかりで無抵抗に近い形で終わりました。

ポジションにはついているものの準備がまるで整っていない状態で、室屋成がジェフェルソン・ソテルドにクロスを上げられ、サロモン・ロンドンに決められてあっさり先制を許したところから悪夢の45分は始まります。

2失点目は日本の選手は揃っていながら、中央に固まっていたため大外に立つベネズエラの選手がフリーになっており、そこが気になってしまったのか注意力が散漫になり、最終的には簡単に中を破られて失点しました。

ロンドンのハットトリックとなる3失点目は、中盤でボールをダイレクトでかつ広く動かされた時点で勝負ありでした。振り回された日本守備陣はなすすべなくゴールを許します。

その5分後にもソテルドに決められ、試合はほぼ決まってしまいました。

この試合に向かうにあたり森保一監督は、疲労を考慮して吉田麻也、南野拓実ら海外組の主力を使い続けることをやめ、来月に迫るE-1サッカー選手権を視野に入れたメンバー選考を行いました。

そしてコパ・アメリカで若手を支えて軸になった柴崎岳、中島翔哉、そして川島永嗣をスタメンで起用。うまく選手を融合させてこれからの戦いに備えるはずでした。

その目論見が崩されての大量失点。親善試合とはいえあらゆる意味での準備不足は否めません。

後半はメンバーを代え、陣形をコンパクトにしてスペースを消し、中島の守備の負担を減らすべくトップ下に配するなどいくつかの修正を施したことでいたずらに失点を重ねることはなくなりました。

選手もプレッシャーを激しくかけるようになり、余裕をもってペースを落とし、前半ほどの圧力をかけてこないベネズエラとは対照的なプレーが続きました。

それでも奪えたのは相手に当たってコースが変わって決まった山口蛍の1点のみ。左サイドに流れた永井謙佑の見事な判断によるアシストから生まれたものでした。

45分を通じて積極性は見せていたものの、ペナルティエリアにいい形で入れたシーンは少なく、入れたとしても最後のところの球際で負けてしまっていました。

メンバーに変化の乏しかった先日のキルギス戦は内容含めて新鮮さに欠ける試合でしたが、選手を入れ替えたこの日はさらに収穫の乏しい一戦となりました。前半から後半のような戦いができていれば、もっと得るものはあったはずです。

この試合を踏まえ、おそらく国内組で編成されるであろうE-1で、韓国との戦いが避けられない大会でどれほど立て直すことができるのか。指揮官の手腕が問われることとなります。