日本にとって厄介だったのが、前半は岩渕真奈をマンマーク気味に見ていたアンカーのマーメロ・マクハバヌと最前線でスピードを生かした攻撃を仕掛けるクレツィナー・クガトラナくらいであったことを考えると、果たして十分な結果を残せたのかどうかは大きな疑問として残ります。

リーグ戦が終わったばかりの選手が大半で、ホームでのフレンドリーマッチに多くを求めるのは酷かもしれません。それでも得点に対する貪欲さ、ビルドアップやディフェンスにおける集中に物足りなさがありました。

得点は対格差を生かしたセットプレーからの熊谷紗希の待望の代表初得点と菅澤優衣香が相手DFのタイミングを外す形で放ったゴールにとどまりました。

後半はルーズボールをかなりの確率で日本が拾えていた割に、そこからフィニッシュへのつくりが甘くなり、攻撃が途中で止まるシーンが多く見られました。

個では左サイドにスタートポジションを置かれても縦横無尽に動き、攻撃の活性化を図ろうとした長谷川唯や、ハーフタイム明けからの投入でその長谷川とのコンビネーションからチャンスを生み出した籾木結花のプレーが光っていました。ただ、そんな彼女たちでさえ消えている時間があり、南アフリカを圧倒したとは言えません。

相手にはシュートを後半の2本しか打たれていません。それは日本の守備が完璧だったから、ではなく両者の力量差によるものでした。2本のうち1本は土光真代のミスがきっかけです。これはクガトラナのシュートがポストを叩いたために失点を免れます。

力の差があるにもかかわらず、その差の大きさを披露しきれなかった点は課題として挙げられます。目標の高さを踏まえると、果たしてこのマッチメイクが適切だったのかということにまで考えが及んでしまいます。

12月には身近なライバルとのE-1サッカー選手権に臨み、おそらく来年3月にはどこかの国際大会にエントリーするであろうなでしこジャパン。チームの成長のためにはこうした場を生かすほかなさそうです。