他会場も含め、結果次第ではAFCチャンピオンズリーグ出場権すら獲得できなくなってしまう状況下で、川崎はアウェイゲームながらすばらしい戦いを見せました。

鬼木達監督は現状で攻守両面においてベストのメンバーを選択。鹿島に比べて過密日程によるコンディションの問題はあるものの、万全の状態でキックオフを迎えます。

相手が首位を走るチームとあって選手たちの集中も高く、広島戦、浦和戦よりもさらにギアを上げてプレーを続けます。ワンタッチで一気に局面を打開する場面は多くなかった代わりに、短いレンジのパスを確実につないで隙をうかがいました。そうして最初の30分はペースを握ります。

ただ、ブエノを中心に永木亮太、レオ・シルバを含めた鹿島の後方6枚の守備は手堅く、容易には攻略させてもらえません。最近有効だったミドルシュートも打てませんでした。

するとそこから鹿島が圧倒し始めます。内田篤人、町田浩樹がペナルティエリア横まで運んでクロスを上げられるようになり、逆に川崎は大島僚太、守田英正がらしくないコントロールミスからピンチを招いてしまいます。

ハーフタイムを挟んで前後30分間、川崎はずっと劣勢に立たされました。それでも枠に助けられたり、絶体絶命の場面で車屋紳太郎がセルジーニョのシュートを阻むなどして我慢を続けました。

そうした中でつかんだ鹿島ゴール手前でのフリーキックを生かします。脇坂泰斗が下がったためキッカーを任された家長昭博のやわらかいボールを、巧みな動きで相手を外した山村和也がフリーでヘッド。待望の先制点を奪いました。

それから10分と経たないうちに決めたカウンターも鮮やかでした。阿部浩之が囲まれながらキープしてサイドに展開。流れの中で左サイドにいた守田が一気に前の小林悠へ。小林の安定した絶妙なトラップから持ち込んでのシュートはポストを叩いたものの、長谷川竜也が突っ込んでネットを揺らします。

残り20分を切って0対2。精神的に優位に立った川崎は、冷静に試合を進めます。タイトル争いをしているライバルのことを考えると是が非でも逆転したい鹿島をいなしてボールを保持。相手の焦燥感を煽ります。

前がかりの鹿島には押されていた時間帯ほどの脅威はなく、フレッシュな知念慶を入れて3点目を奪う姿勢を見せながら戦うことができ、露骨なボールキープをする必要性もありませんでした。

これで試練の3連戦は全勝でフィニッシュ。強いチームと対戦したからこそ出たハイパフォーマンスとも言えますが、同じ内容のプレーが夏場にできていればもう少し違った立場にいられたかもしれません。

また、勝つには勝ったものの、同時刻キックオフの試合でFC東京、横浜F・マリノスがともに勝ったため、2週間後、川崎がすでに消化済みの第32節で両者のどちらかが勝った場合、3連覇の望みは完全に絶たれてしまいます。

ディフェンディングチャンピオンとしては、どういう結果になったとしてもそのプライドにかけてホーム最終戦と今季最終戦で白星を獲得していくしかありません。