後半46分、長谷川竜也が鮮やかなシュートを叩き込み、完封負けこそ避けられたものの、それ以上のゴールが生まれることはなくホームで痛い敗戦を喫しました。前節、ジュビロ磐田を下して再浮上のきっかけをつかんだかに見えた川崎でしたが、それは幻でした。

川崎のボール保持はミドルゾーンかつ相手陣内にいる時間が多く、逆に神戸のそれは川崎が深めに構えていることもあって、自陣の比較的深い位置で変則的な立ち位置をとった最終ラインの選手が中心になっていました。

一見、川崎の方が優位に立っているように感じられますが、ベストメンバーの神戸には一気に局面を変えられる、精度の高いロングパスを供給できる選手が揃っており、それが脅威となっていました。

実際、神戸の先制点はカウンターによるものでした。ゴールを決めたダビド・ビジャは直前のフリーキックで大きく枠を外したものの、一度シュートを打っておいたことで感覚をつかみ、古橋亨梧からのラストパスにはきっちり合わせてニアサイドを抜きました。

2点目も大きな展開がゴールにつながりました。ショートコーナーからの流れでアンドレス・イニエスタがファーサイドで構えるトーマス・フェルマーレンを狙い、フェルマーレンが折り返すと大崎玲央がフリーで合わせて決めます。フェルナンド・トーレスの引退試合で負ったケガから1ヵ月ぶりに戻った背番号8が決定的な役割を果たしました。

追い詰められ、なんとしてでも得点の欲しい鬼木達監督は、センターハーフの下田北斗、田中碧を下げ、パス出しに長けた脇坂泰斗、そしてトップ下で先発した中村憲剛にそのポジションを任せる形をとりました。

前線は小林悠とレアンドロ・ダミアンの2トップにして厚みを加えます。アンカーのセルジ・サンペールをフリーにすることが多くなる、守備を多少大目に見た攻撃偏重ともいえる陣容に変わりました。

ただ、3バックの神戸は中央が固く、そこを破るのは容易でないと判断してか、左サイドを中心に外回りでボールを動かして攻め入るものの効果的なフィニッシュにはつながらず、時間ばかりが経過しました。

直前の試合で上位を走る鹿島アントラーズがホームで引き分け、勝ち点差を詰めるチャンスを得ながら、それを生かし切れずにタイムアップを迎えます。

残り試合数が上位との勝ち点差を上回っていて、天皇杯も落とした今はリーグ3連覇ではなく、現在圏外にいるACL、AFCチャンピオンズリーグ出場権獲得がディフェンディングチャンピオンの現実的な目標になりつつあります。