前半にジェラール・デウロフェウがシティゴールを脅かしたことをすっかり忘れてしまうような、それが記録として残らないためにやがては時間の経過とともに人々の記憶からは消されてしまうような、そんなディフェンディングチャンピオンによる8対0の圧勝劇でした。

開始18分までに5得点の荒稼ぎをした攻撃は、シティの強さをまざまざと見せつけるものでした。ただし圧倒的な崩しで相手の守備網を分断して崩壊させたというより、PKを含むリスタートを確実に生かしたゴールが目立ちました。

後半も得失点差の広がりによる多少の緩みはあったとはいえ、ミッドウィークのシャフタール戦で決定機を量産しながら3点目を奪うのに苦労したのに比べると、後半3分にダビド・シルバとベルナルド・シウバの絡みでハーフタイム明け最初のゴールを奪えたあたりに隙のなさがうかがえます。

こうしたチームとしての安定感、すばらしさもさることながら、その中でもっとも輝きを見せた選手はケビン・デ・ブライネでした。3日前、ウクライナで後半32分まで走り続け、カウンターで試合を決定づける3点目のアシストをした背番号17が、ワトフォード相手に先制点のアシストから最後の得点に至るまでフル稼働しました。

前半1分のアシストは、おなじみかつ得意の場所からの鋭いクロスを、ダビド・シルバの頭ではなく足元にピンポイントで供給しました。あそこまで正確に落としたボールですと、ワトフォードの守備陣もどうしようもありません。

8点目のゴールはボックスの中からの容赦ない強烈な一発でした。後半40分になってさすがに疲労の色が隠せなかったデ・ブライネでしたが、チャンスをきっちり決めてしまいます。

指揮を執るペップ・グアルディオラ監督は前半のうちに大量リードをしたことから、負傷者続出のため不安の尽きない最終ラインのバックアッパーを試す方向にシフト。アンヘリーニョ、ジョアン・カンセロを入れ、最後はニコラス・オタメンディに代えて18歳のエリック・ガルシアを起用します。

ゆえに中盤から前の選手は休むことができなくなりましたが、おそらく今度のミッドウィークに控えるプレストンとのカラバオカップではプレーせずに済む、もしくはプレータイムが短くなる可能性が少なくないこともあり、大幅に強度が落ちることなく戦い終えました。

この結果、シティは2位をキープ。チェルシーとの一戦を控える首位のリバプールにプレッシャーをかけることに成功しました。