川崎にとって、スコアの推移は前節のベガルタ仙台戦と同じでした。一旦は逆転を許し、かろうじて同点に追い付く。しかし逆転するまでの力はなく、勝ち点1を獲得するにとどまりました。これで5試合続けて勝ち星なしです。

序盤に清水に決定機をつくられ、チョン・ソンリョンの好セーブで凌いだものの、やや自信を失いかけていたチームを鼓舞したのは齋藤学でした。本来の持ち味であるドリブルをちらりと見せ、果敢に前線に向かっていきました。

チーム全体にいい流れができつつあった前半14分、齋藤が清水の最終ラインとの駆け引きに勝って入れた低いクロスをレアンドロ・ダミアンが合わせて先制します。

以降はカウンター主体でチャンスをつくり、マギーニョ、そして齋藤が抜け出すもシュートは枠を外れてしまい追加点は奪えませんでした。どちらかを確実に沈めていれば、せめて枠をとらえていれば、もっと余裕が持てたはずです。

調子のいいときほど危ないというものなのか、ドウグラスにフリーキックを沈められたあと、齋藤が右膝を痛めてしまいます。この日のキープレーヤーの無念の退場となり、代わって長谷川竜也がピッチに入りました。

清水は3ラインを形成して守るものの、川崎のビルドアップ時にはラインの間隔が開き気味になるため、パスを出しやすいシチュエーションができていました。そこでパスを入れると今度は密集しだし、清水守備陣のバランスは崩れがちでした。ただ、そこをさかんに突くだけの力が今の川崎にはありません。

そして、最初のパス出しでファーストディフェンダーをたびたび外していた谷口彰悟が痛恨のミスを犯してしまいます。清水の選手に囲まれていた守田英正へのパスをヘナト・アウグストにカットされ、こぼれ球を拾ったドウグラスが出したスルーパスにヘナト・アウグストが反応してフィニッシュ。ジェジエウがカバーに走りましたが及びません。

またしても追い込まれた川崎は、守田に代えてキャプテンの小林悠を投入。直後、中村憲剛の鋭い縦パスを馬渡和彰が受けて最後は小林が見事に沈めます。残り時間は10分強ありました。

中村憲剛のポジションが窮屈なトップ下からセンターハーフに下がったことで、比較的フリーな状態から効果的なパスを繰り出せるようにはなりました。それでもやはりチームとしての仕上げの部分の精度が高くなく、決定機を思うようにつくりだせませんでした。

首位のFC東京との勝ち点差は8のまま。2位の鹿島アントラーズにも1試合では追い付けない差があります。横浜F・マリノスに上回られて4位に転落した川崎は、3連覇の可能性が低下しつつあります。