サッカーというのは難しく、わからないもので、必ずしも優勢だから勝てるとは限らないのだとあらためて思い知らされるゲームでした。

ディフェンディングチャンピオンのシティは、開幕戦のウェストハム戦以上に圧倒的に攻め立てました。相手が相手だからこそ、キックオフから怒涛の攻撃でペナルティエリアにたくさんの選手がなだれ込む場面を継続してつくりだしていました。その努力、労力が後半アディショナルタイムにドラマチックな形で報われたかに思われました。

しかし、ケビン・デ・ブライネのコーナーキックを起点にしたガブリエウ・ジェズスのゴールは、VARによって直前のエメリク・ラポルトのハンドをとられてしまって認められず、試合は2対2のドローに終わりました。

シティが放ったシュートはスパーズの10倍。30本に及びました。うち3分の1が枠をとらえており、闇雲に打ったような、ゴールの可能性を感じさせないものばかりではありませんでした。自陣に押し込まれながらもウーゴ・ロリスを中心としたトッテナムの守備陣の奮闘に阻まれてしまったのです。

そうした中でデ・ブライネの右サイドに流れてのクロスが冴えわたっていました。ラヒーム・スターリングの先制点は浮き球でファーサイドを狙って、セルヒオ・アグエロの勝ち越し点は得意の高速クロスを繰り出したことで生まれました。

一方のトッテナムはハリー・ケインの超ロングシュートを除く2本のシュートをいずれも決め、非常に効果的な攻撃を披露しました。エリク・ラメラは1得点1アシストを記録、新加入のタンギ・エンドンベレはラメラのゴールにつながる見事なアシスト、そして途中投入のルーカス・モウラはすぐさま結果を出しました。

ルーカス・モウラの同点弾のあと、ペップ・グアルディオラ監督はガブリエウ・ジェズス、ダビド・シルバ、リヤド・マフレズを送り込み、ロドリを下げてイルカイ・ギュンドアンをアンカーの位置に下げるなど攻撃偏重の姿勢を明確にしました。ただ、指揮官の意図がわかった一方で、マフレズを筆頭に起用された選手が存分に力を発揮したとは言い切れません。そのあたりは誤算と言えるでしょう。

そう考えると引き分けは妥当な結果にも思えます。加えて終盤にはオレクサンドル・ジンチェンコが利き足である左足を負傷。スパーズとは対照的にすでに交代枠を使い切っていたため、懸命にピッチに残りはしましたが強いボールはほとんど蹴れませんでした。

まだリーグ戦が始まって2試合目ゆえにシーズン全体に大きな影響を与える結果ではないのが救いです。今季もカップを掲げるために難敵相手のドローをポジティブに考えて突き進むしかありません。