東慶悟が激しいチャージをすれば、中村憲剛、齋藤学は深いタックルを仕掛ける。首位を争う両者の一戦は4万人を超える観衆が見つめる中、テンション高く始まりました。

ほかの多くのチームが試みるように東京は当初、前線からのプレッシャーをきつめにしていきました。立ち上がりは川崎にリズムをつくらせないようにするためでしょう。次第にブロックをつくってタイトな守備をする方向にシフトします。

ジェジエウのヘッドがクロスバーを叩く決定機を生み、小林悠がJ1通算100得点目を決めたのはいずれもコーナーキックからでした。流れの中での川崎はDFとMFの間が狭い東京の守備網攻略に手間取ります。

そのライン間にボールを出すのは難しく、中村が下りてきたり、ポジションを変えたり、また田中碧が少ないタッチ数で鋭いパスを出すなどしますが、なかなか崩せません。

前節のサガン鳥栖戦のように左サイド偏重になりかける時間もあり、やや単調さを見せたまま前半は0対1で折り返します。

しかしそのままの流れで戦い続けることを川崎は選びません。後半は選手が連動した一気の攻めで壊しにかかります。

待ち構えている相手を引き続き中盤でのパスワークで崩すというよりは、態勢が整いきらない間にゴール前になだれ込んで仕留める。これを徹底しました。そうすることで東京の最終ラインまですばやく突破することができ、ゴールに近づけます。

復調した中村が橋本拳人を翻弄し、齋藤の2点目につなげた場面もさることながら、試合を決定づける3点目の一連の流れは見事でした。

齋藤が抜け出しての林彰洋との1対1は林に軍配が上がったものの、周囲に味方がそろっていたため森重真人はこぼれ球を近くの小川諒也に預けようとしました。そこを狙っていた阿部浩之がボールを奪取。ボックス近辺で電光石火のパス回しをして翻弄し、最後は阿部がコースのないようなところを狙いすまして決めました。

東京は東が右サイドハーフを任されていた時間でもハーフスペースや中央にポジションをとったり、その代わりに高萩洋次郎が右サイドの上がり目に出たり、室屋成が流れの中で逆サイドまで走ったりと、数的優位をつくって相手を混乱させる動きをしていましたが、川崎は落ち着いて対処しました。

また得点力のあるディエゴ・オリヴェイラ、永井謙佑の2トップに関しては、序盤にディエゴに一度フリーでシュートを打たせはしたものの、主にジェジエウ、谷口彰悟が持ち味を生かして自由を与えず、シャットアウトします。

1試合消化が少ない川崎は、東京との勝ち点差を4に縮めました。未消化のサンフレッチェ広島戦がどのような結果に終わるかはわかりませんが、価値ある、大きな1勝を挙げました。