前半15分、前半48分、後半45分。ブラジルが得点を挙げたのはいずれも理想的な時間帯でした。

1点目と2点目の流れは美しさを感じさせました。先制点は大会MVPに輝くダニエウ・アウベスが、ペルーの最終ラインと駆け引きをするガブリエウ・ジェズスへパス。今大会はロベルト・フィルミーノと併用されだして以降、右サイドをスタートポジションとするジェズスは、機敏な切り返しからファーサイドにクロスを入れ、それをフリーのエベルトンが決めました。

2点目はフィルミーノの守備への切り替えの速さがものを言います。奪ったボールをアルトゥールがドリブルで運び、右側を並走するフィルミーノを2回見たあとで左にいたジェズスへラストパス。最後はストライカーとしてのジェズスが結果を出します。

ジェズスのゴールが生まれる前にパオロ・ゲレーロにPKを沈められ、今大会初失点を喫して嫌な流れになりかけただけにハーフタイム前の得点は優勝に向かうブラジルを大きくあと押ししました。

ところが1得点1アシストのジェズスが、後半25分にロベルト・トバル主審の厳しいジャッジによって2枚目のイエローカードを受け退場。再び空気がよどみ始めます。

ピッチ上の選手の数が10人になり、決断を迫られたチッチ監督は冷静に確実にジェズスの勝ち越し点を守り切ろうと動きます。残っている前線の選手を下げ、復調したリシャーリソン、そしてエデル・ミリトンを入れました。最後の逃げ切りにはアランを送り込んでいます。

数的優位を生かし、希望をもって攻めるペルーの圧力を凌ぎ、終盤にエベルトンがドリブルで突っ込むとボックスの中でファウルを受けました。ネイマール不在のこの大会でダビド・ネレスを押しのけて左ウイングとしてプレーし、脚光を浴びるも、次第に持ち味の仕掛けが効かなくなっていましたが、最後の最後でその突破力がPKに結び付きました。

これをピッチに入ってまだ15分のリシャーリソンが決めて勝負あり。残り時間を考えると手堅く守るセレソンから最低でも2点を奪うのは、ペルーにとっては難しいミッションになりました。

ホスト国の責任、重圧を背負っていたブラジルは守りを固めたチームに手を焼き、猛攻を仕掛けながら無得点に終わった試合もあったものの、結果的には4大会ぶりのコパ・アメリカ制覇を果たして、久しぶりのメジャータイトル獲得となりました。