前節のサンフレッチェ広島戦が7月末に延期されているため、約2週間ぶりの試合となった川崎。最後の最後で1失点はしたものの、持ち味を存分に発揮したゲームとなりました。

前の試合で戦った北海道コンサドーレ札幌とシステム上は同じ3-4-2-1の磐田でしたが、ほとんどの時間、川崎が自陣でボールを動かす間はさほどプレッシャーをかけてきません。

また守備時に形成される5-4のブロックもコンパクトにはしていても、川崎の前線の選手が入れ代わり立ち代わり最終ラインとの駆け引きをしてくるため、それに意識を持っていかれて決して穴のない状態ではありませんでした。

そこで大島僚太は時折下がって受け、相手の寄せが甘い、比較的フリーな状態で前線にチャンスにつながるパスを供給することが可能になります。

先制点はその大島が起点になりました。背番号10のサイドチェンジによって、5枚の最終ラインのさらに外側で幅をとっていた車屋紳太郎にパスがわたり、そこからクロス。高橋祥平の転倒も幸いして小林悠がフリーの状態でヘッドを叩き付けます。クシシュトフ・カミンスキーはボールに触れましたが、及びません。

追加点は後半5分、磐田のカウンターを阻止したところから始まります。相手の守備が整いきらないところを突いて、長谷川竜也のカットインで流れたボールに走り込んだ脇坂泰斗が美しいグラウンダーのシュートを決めて生まれました。

効果的にかつ確実に仕留める力はさすがでした。2点目を奪ってからは少しテンポを落とし、得点を取るために前に出てくる磐田をいなす戦いを始めます。そして終盤に差し掛かるところで鬼木達監督は齋藤学、知念慶を入れ、とどめを刺しに出て、実際に刺し切ります。後方から走って家長昭博からボールを受けたあと、ドリブルではなく中央へのクロスを選択した齋藤に応えて知念が流し込みました。

6月はここまで勝利のなかった川崎ですが、今後に弾みがつく、流れるような攻撃を披露しての完勝でした。

逆に連敗で最下位に転落した磐田は、長らくチームを指揮していた名波浩監督が退任。J1残留に向けて新たなスタートを切ることを余儀なくされました。