結果が求められる世界ではありますし、押し込みながら勝ち切れなかったことは悔やまれますが、この試合のなでしこジャパンは現体制でも屈指の、会心の出来でした。彼女たちは8年前を彷彿とさせる魅力的なサッカーをピッチの上で表現してくれました。

シャニセ・ファン・デ・サンデンとリーケ・マルテンスの両ウイングを絡めたサイドアタックが持ち味のオランダに対して無防備に真っ向勝負を挑むのではなく、まずはブロックをつくった守備から入った日本。前半17分にニアを突いたコーナーキックでマルテンスにゴールを許しはしたものの、最終ラインの選手を中心に辛抱強く、なでしこらしく堪えていました。それにより、前回、アルガルベカップで45分の間に5失点を食らったときの二の舞は避けられました。

攻撃では相手のプレッシャーの強さに苦しめられながらも、隙をついたパスを狙い続け、前半43分に杉田妃和のボールカットを起点に菅澤優衣香、岩渕真奈、長谷川唯が連動して同点に追い付きます。ボールには絡んでいませんが、杉田、長谷川が動く中での鮫島彩のオーバーラップも得点に貢献しました。

流れるような形でゴールを奪ったことでオランダの戦意を削ぐことに成功。序盤ほどはたやすく間を詰められなくなり、日本のパスワークに躍動感があふれます。ハーフタイムを挟んで後半の立ち上がりこそ一時的にオランダの積極的な守備意識が回復したものの、次第に日本のペースに戻りました。

相手のいないスペースにポジションをとる受け手に逡巡することなくボールを出し、常に動かすことでオランダゴールに向かって前進。最後はセンターバックやサイドバックの間に立つ前線の選手に正確なラストパスを送り、シュートへつなぐ。しばらくお目にかかれなかった美しいサッカーがそこにはありました。

杉田のクロスバーを直撃したシュート、そして途中出場を果たした籾木結花のフィニッシュと、ゴール前に人数をかけて立て続けに決定機をつくり、失意の欧州女王を屈服させるのは時間の問題のように思われました。

しかし、日本の左サイドを攻略され、混戦の中でビビアネ・ミーデマに打たれたシュートが、熊谷紗希の体からわずかに離れた腕に当たりPKの判定。これをマルテンスに決められ、立場は逆転します。

失点したのは後半45分。アディショナルタイムは5分しか残されておらず、岩渕は足をつらせて無念の離脱。オランダの時間稼ぎを止めきれないまま、なでしこジャパンのワールドカップは幕を閉じました。

屈辱のリオ五輪予選敗退後、高倉麻子監督の指揮のもと、アンダー世代で結果を出してきた若手が続々と起用され、開く一方だった競合国との力の差に苦しみながらも模索を繰り返して成長を続けてきました。その集大成ともいえるプレーができていながら、ベスト8には届かず、ワールドカップのトロフィーを取り戻すことはできませんでした。

それでも自陣での痛恨のミスがほとんどなく、相手を凌駕するなでしこらしさを再び発揮できるようになったことは大きな収穫であり、来年の東京五輪での悲願の金メダル獲得への可能性を広げる見事な戦いぶりでした。